「自分だけが、特別に弱いのだろうか」
「周りの人はうまくやっているのに、なぜ私だけ…」
苦しみの渦中にいると、いつしか孤独感に苛まれ、すべての原因が自分にあるかのように感じてしまいます。
その感覚は、あなたから自信を奪い、誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまう状況を作り出します。
しかし、その苦しみは、決してあなた一人だけのものではありません。
一見すると冷たい「データ」や「統計」こそが、その孤独な戦いに終止符を打ち、「あなたは一人じゃない」という何より温かい真実を教えてくれます。
この記事では、客観的な数字をあなたの味方につけ、その苦しみが決して特別なことではないと理解するための、最新の統計データをご紹介します。
―― このページはこんな3本柱でお届けします ――
🚀 驚くべき被害経験率 / 🎯 声を上げられない実態 / 🔥 増え続ける相談件数
誰もが当事者になり得る「被害経験率」
まず知っていただきたいのは、職場のハラスメントが、決して他人事ではない、という厳然たる事実です。
過去3年間に、約5人に1人がパワハラを経験
厚生労働省が令和5年度に行った最新の調査によると、過去3年間に職場でパワーハラスメントを受けたことがあると回答した人は19.3%にのぼります。
これは、およそ5人に1人がパワハラの被害に遭っている計算になります。
決して特別なことではない
この数字は、あなたの身に起きていることが、決して珍しいことでも、あなたの弱さが原因でもないことを明確に示しています。
同じように声には出さなくても、職場で苦しい思いをしている仲間が、すぐ隣の席にいるかもしれないのです。
🔑 ワンポイント
職場のパワハラは、一部の特殊な人が遭うものではなく、誰もが経験しうる、ごくありふれた問題であるという事実を、この数字は示しています
🌈 ちょっと一息
データが示す現実は、あなたの孤独感を和らげるための、最も客観的で力強い味方です。あなたは、決して一人で戦っているわけではありません
なぜ被害者は声を上げられないのか
これほど多くの人が被害に遭っているにもかかわらず、問題が表面化しにくいのはなぜでしょうか。データは、その痛ましい実態も明らかにしています。
最も多い回答は「何もしなかった」
ハラスメントを受けた後の行動として、全てのハラスメント類型において「何もしなかった」という回答が最も多くなっています。
特にセクハラにおいては、50%以上の人が何もせずに我慢しているという結果でした。
相談しない、できない理由
なぜ、多くの被害者は声を上げずに、一人で耐えてしまうのでしょうか。その理由として、常に上位に挙がるのが以下の2つです。
「相談しても解決にならないと思ったから」
- 「会社や上司に言っても、まともに取り合ってくれないだろう」「どうせもみ消されるだけだ」という、組織に対する絶望や不信感が、被害者の声を封じ込めている実態がうかがえます。
「仕事に支障が出るかもしれないから」
- 相談したことが原因で、さらに酷い仕打ちを受けたり、不当な評価を受けたりするのではないかという「報復」への恐怖も、被害者が行動を起こせない大きな理由となっています。
🔑 ワンポイント
相談や報告をためらうのは、あなたが臆病だからではありません。「相談しても無駄だ」「報復が怖い」と感じてしまう、客観的で正当な理由があるのです
🌈 ちょっと一息
「相談しても無駄かもしれない」と感じてしまうのは、あなた一人の感覚ではありません。多くの仲間が同じように感じ、声を上げられずにいます。その事実を知るだけでも、少し心が軽くなるはずです
社会問題化する「いじめ・嫌がらせ」相談件数
個々の被害者が声を上げにくい一方で、公的な相談窓口には、その悲鳴が毎年殺到しています。
10年以上、全労働相談の中でトップを維持
全国の労働局などに設置されている「総合労働相談コーナー」に寄せられる相談のうち、「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は、13年連続でトップであり続けています。
令和6年度の相談件数
最新の令和6年度の統計では、「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は54,987件にのぼり、依然として他の相談項目を大きく引き離して最多となっています。
これは、氷山の一角に過ぎません。声を上げられずにいる潜在的な被害者は、この何倍、何十倍もいると推測されます。
しかし、この数字だけでも、あなたの苦しみが個人的な悩みではなく、社会全体で取り組むべき「公的な問題」であることを、雄弁に物語っています。
🔑 ワンポイント
全国の労働局に寄せられる膨大な相談件数が、あなたの苦しみが個人的な問題などではなく、社会的に認知された「公の問題」であることを証明しています
🌈 ちょっと一息
一つ一つの数字の裏には、あなたと同じように、悩み、苦しみ、それでも何とかしようと勇気を振り絞った、無数の仲間の存在があります
まとめ
この記事を通して、「あなたの苦しみは、決してあなた一人のものではない」という事実を、客観的なデータと共にお伝えしてきました。
- 5人に1人がパワハラを経験しているという現実。
- 「相談しても無駄だ」と感じ、声を上げられない仲間の存在。
- 「いじめ・嫌がらせ」が、日本で最も多い労働相談であるという事実。
これらのデータはすべて、あなたが今感じている苦しみや無力感が、決してあなたのせいではないことを裏付ける、強力な証拠です。
その事実を知った上で、次のページでは、「あなたの職場は大丈夫?ハラスメントが蔓延する環境の特徴」について見ていきます。
問題の根源が、あなた自身ではなく、職場という「環境」にある可能性を、さらに明らかにしていきましょう。