休職や退職を決意し、
心と体を休める時間を得たとしても、ハラスメントによって深く傷ついた心が、自然に、そして完全回復することは簡単なことではありません。
「誰かに話を聞いてほしい、でも家族や友人には心配をかけたくない」 「この辛い気持ちを、どう整理すればいいか分からない」
そうした時、専門家(医師・カウンセラー)の力を借りることは、あなたの回復を安全かつ効果的に進める上で、非常に有効な選択肢となります。
専門家への相談は、決して特別なことでも、弱いことでもありません。それは、風邪を引いたら内科へ行くように、心の不調に対して、その道のプロフェッショナルの知識と技術を借りる、合理的で賢明な判断です。
この記事では、専門家をあなたの「最高の味方」にするための、具体的な知識と方法について解説します。
―― このページはこんな3本柱でお届けします ――
🚀 専門家を頼るメリット / 🎯 医師とカウンセラーの役割 / 🔥 自分に合う専門家
なぜ、専門家を頼ることが有効なのか
一人で抱え込まず、専門家に相談することには、友人や家族への相談とは異なる、明確なメリットがあります。
客観的な視点から、状況を整理できる
信頼できる友人や家族は、あなたの最大の味方ですが、どうしても感情的にあなたの側に立つため、客観的な状況分析が難しい場合があります。
その点、専門家は、あなたの話を親身に聞きながらも、トレーニングされた客観的な視点で、あなたの置かれている状況や、混乱した心の状態を整理する手助けをしてくれます。
多くの同様のケースを見てきた経験から、あなた一人では気づけなかった問題の本質を示してくれることもあります。
🔑 ワンポイント
専門家は、あなたの苦しみを客観的に評価し、回復への具体的な道筋を示してくれる、いわば「心の問題解決のプロフェッショナル」です
専門的な知識と技術によるサポートが受けられる
医師やカウンセラーは、長年の学問と臨床経験に裏打ちされた、専門的な知識と技術を持っています。
専門家だからこそできること
- 医学的な診断と治療
- 医師は、あなたの症状がうつ病や適応障害といった治療が必要な状態かを診断し、必要に応じて症状を和らげる薬を処方できます
- 心理療法
- カウンセラーは、対話を通じて、あなたがトラウマを乗り越え、物事の捉え方を修正していく手助け(心理療法)を行います
🌈 ちょっと一息
一人で悩み続けることは、出口の見えない暗い森を、地図もコンパスも持たずに歩き続けるようなものです。専門家は、その森を抜け出すための、信頼できる地図やコンパスの役割を果たしてくれます
「医師」と「カウンセラー」の違いと、上手な使い分け
「どちらに相談すればいいのか分からない」というのも、よくある悩みの一つです。医師とカウンセラーは、似ているようで、その役割は明確に異なります。
医師(精神科・心療内科)の役割
医師は、心身の不調を「病気」として捉え、医学的な治療を行う専門家です。
主な役割
- 診断
⇒ あなたの症状が、医学的にどのような病気に該当するのかを診断する - 薬物療法
⇒ 不眠や強い不安、気分の落ち込みといった辛い症状を、薬を使って和らげる - 診断書の作成
⇒ 休職するために会社に提出が必要な、公式な診断書を作成する
🔑 ワンポイント
医師は「脳や身体の不調」に、カウンセラーは「心の悩みや思考の整理」に対応します。両者を連携させることで、より効果的な回復が期待できます
カウンセラー(臨床心理士・公認心理師など)の役割
カウンセラーは、対話を通じて、あなたの心が本来持っている回復力を引き出す専門家です。「臨床心理士」や「公認心理師」といった資格を持つ人が、信頼性の高い専門家の一つの目安となります。
主な役割
- 傾聴
⇒ あなたの話を、評価や決めつけをせずに、深く共感的に聞く - 心理療法
⇒ 薬を使わない様々な心理学的なアプローチを用いて、あなたの悩みや苦しみの根本にある問題の解決を手伝う - 自己理解の促進
⇒ あなた自身が、自分の感情や思考のパターンに気づき、今後の人生をより良く生きるためのヒントを得る手助けをする
どちらに先に相談すれば良いか
もし、不眠や食欲不振といった身体的な症状が強い場合や、休職のための診断書がすぐに必要な場合は、まず医師(精神科・心療内科)に相談することをおすすめします。
その上で、医師からカウンセリングを勧められたり、並行してカウンセリングを受けたりする、という流れが一般的です。
🌈 ちょっと一息
どちらが優れているというものではありません。車の両輪のように、医師による医学的治療と、カウンセラーによる心理的サポートを組み合わせることが、多くの場合、回復への近道となります
あなたに合う「良い専門家」の見つけ方と、相談のコツ
専門家との相性は、回復のプロセスに大きな影響を与えます。
良い専門家を見分けるポイント
いくつかのクリニックやカウンセリングルームの初回相談などを利用して、あなたにとって「信頼できる」と感じられる専門家を探すことが大切です。
チェックポイント
- 話をじっくりと、否定せずに聞いてくれる
- 専門用語を多用せず、分かりやすく説明してくれる
- 治療の方針や見通しについて、あなたの意見も聞きながら一緒に考えてくれる
- 人として、なんとなく「相性が良い」と感じられる
🔑 ワンポイント
専門家との相性は、治療効果を大きく左右します。最初の相談で「何か違う」と感じたら、遠慮なく別の専門家を探すことも、あなたの大切な権利です
相談の際に、事前に準備しておくと良いこと
限られた相談時間を有効に使うために、簡単な準備をしておくと、よりスムーズにあなたの状況を伝えることができます。
準備しておくと良いもの
- これまでに記録してきた、ハラスメントのメモや日記
- 相談したいこと、聞きたいことをまとめた簡単な箇条書きのメモ
- いつから、どのような症状(心・体)が出ているかの時系列メモ
- 現在、服用している薬があれば、その情報
🌈 ちょっと一息
専門家は、魔法使いではありません。あなた自身が「良くなりたい」と願い、主体的に関わっていく姿勢を持つことが、専門家の力を最大限に引き出し、あなた自身の回復を早めることにつながります
まとめ
ここまで、専門家(医師・カウンセラー)を、あなたの回復のための「最高の味方」にする方法について見てきました。
- 専門家を頼るメリット
⇒ 客観的な視点と、専門的な知識・技術によるサポートが受けられる - 医師とカウンセラーの役割分担
⇒ 医師は「医学的治療」、カウンセラーは「心理的サポート」が中心 - 良い専門家の見つけ方
⇒ 相性を見極め、主体的に関わることが重要
ハラスメントによる心の傷は、適切な手当てをすれば、必ず回復に向かいます。一人で抱え込まず、専門家の力を借りるという選択肢を、ぜひあなたの心に留めておいてください。
心と体を休める具体的な方法を知ったあなたが、次に見据えるのは、未来です。次の「新しいキャリアを築く ―あなたらしく輝ける場所は、必ずある―」のカテゴリーで、あなたの新しい人生の扉を開けるための準備を、一緒に始めていきましょう。