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退職金を減らされた! 不当な懲戒解雇の対処法

退職金を減らされた! 不当な懲戒解雇の対処法
退職金を減らされた! 不当な懲戒解雇の対処法

ある日突然、会社から「懲戒解雇」を言い渡され

 それに伴い退職金もゼロまたは大幅に減額されてしまった…。

ハラスメントに苦しんだ末に、さらに生活の基盤となるお金まで奪われるという、二重の絶望感を抱えてはいないでしょうか?

懲戒解雇は、解雇の中でも最も重い処分であり、従業員に与える影響は計り知れません。しかし、懲戒解雇は会社が簡単にできるものではありません

この記事では、懲戒解雇の不当性を見抜くための法的知識と、退職金全額と地位を取り戻すための具体的な対処法を解説します。不当な処分を覆し、あなたの権利と生活を守りましょう。

懲戒解雇の「不当性」を見抜く!会社が負う2つのハードル

懲戒解雇は、会社が従業員を処分する際の

 「最終手段」

です。

そのため、会社には非常に高い法的ハードルが課されています。このハードルから外れているかどうかをチェックすることが、不当解雇を見抜く第一歩です。

1. ハードルその1:客観的に合理的な理由がありますか?

まず、解雇の理由が客観的な視点から見て、本当に解雇に値するほどの重大な問題である必要があります。

  • 解雇理由の明確性
    ⇒ 就業規則に定められた懲戒事由に該当する行為があったのか?
  • 重大性の欠如
    ⇒ ハラスメントを告発したことへの報復など、真の理由が業務と無関係な私的な動機ではないか?
  • 証拠の確実性
    ⇒ 会社側が主張する解雇理由を裏付ける確実な証拠があるか?

2. ハードルその2:社会通念上の相当性はありますか?

たとえ問題行為があったとしても、その行為に対して「解雇」という極めて重い処分が適切であるか、バランスが取れているかが問われます。

  • 均衡性の原則
    ⇒ 他の従業員が同程度の問題を起こした場合と比べて、処分が重すぎないか
  • 改善の機会
    ⇒ 会社は解雇に至る前に、指導や改善の機会を十分に提供したか?
  • 退職金減額の不当性
    ⇒ 懲戒解雇に伴う退職金不支給・減額は、過去の労働への貢献をすべて帳消しにするほどの極めて悪質な行為(例:横領など)に限定されるべきです

🔑 ワンポイント
懲戒解雇は、法律上、会社が自由にできるものではありません。不当な理由を見つけましょう

退職金を取り戻す!解雇撤回と金銭補償要求の具体的な手順

懲戒解雇が不当であると判断した場合、あなたは解雇の撤回と、失った金銭補償を会社に要求する権利があります。

1. まずは解雇の不当性を主張する

会社に対し、解雇は不当であり撤回を求める旨を明確に通知します。

  • 内容証明郵便
    ⇒ 解雇の撤回と、解雇日以降の賃金の支払いを求める文書を、証拠を残すため内容証明郵便で会社に送付します
  • 地位保全の仮処分
    弁護士に依頼し、裁判所に地位保全の仮処分を申し立てます。これが認められると、解雇が無効となるまでの間、給与の支払いを受けられる可能性があります

2. 労働審判・訴訟による金銭補償の要求

話し合いで解決しない場合、裁判所での手続きに移ります。

  • 労働審判
    ⇒ 比較的迅速な解決が期待できる手続きです。解雇の無効退職金全額の支払い、さらに精神的苦痛に対する慰謝料を要求します
  • 不当解雇訴訟
    ⇒ 労働審判で解決しない場合、最終的に訴訟で解雇の無効と金銭的な補償を求めます。解雇撤回が難しくても、解雇期間中の賃金や退職金の支払い命令を得られる可能性があります

3. ハラスメントと解雇の因果関係を主張する

もし、ハラスメントの告発が懲戒解雇の真の理由である場合、これは不当な報復であることを強く主張します。

  • 懲戒解雇の直前に、ハラスメントの相談や告発を行っていた事実を証拠として提出します
  • 会社の懲戒解雇の決定過程に違法な動機があったことを示します

🌈 ちょっと一息
懲戒解雇の撤回が認められれば、退職金だけでなく解雇期間中の賃金も請求できます

「会社都合」に変更!懲戒解雇後の生活を支える手続き

懲戒解雇を争っている期間は、経済的な不安がつきまといます。不当な処分を争うためにも、生活を維持するための公的手続きを並行して進めることが重要です。

1. 失業保険の手続きを「会社都合」で進める

懲戒解雇が不当解雇として争われる場合、ハローワークで失業保険の給付を申請する際に、「会社都合(特定理由離職者)」として扱うよう主張できます。

  • 自己都合と比べて
    ⇒ 給付制限期間がなくなり、早く失業保険を受け取れる可能性があります

2. 健康保険と年金の手続きを忘れずに

会社を離れることで、健康保険と年金の手続きが発生します。

  • 健康保険
    任意継続国民健康保険への切り替え、または家族の扶養に入るなどの選択肢があります
  • 国民年金
    ⇒ 国民年金への切り替え手続きを行い、経済状況に応じて免除申請を検討できます

3. 専門家への相談を最優先にする

懲戒解雇は専門家無しで争うには難易度が高すぎます。労働問題に強い弁護士、または労働局の総合労働相談コーナーへすぐに相談してください。

  • 弁護士は、あなたの状況に合わせて地位保全などの緊急措置を迅速に実行してくれます
  • 労働局は無料で相談に応じてくれます

まとめ

今回は、会社から不当な懲戒解雇退職金の減額をされた際の、対処法について解説しました。

この記事のポイント

  • 懲戒解雇は客観的合理性社会通念上の相当性という高い法的ハードルがあり、不当な解雇は撤回を求められる
  • 解雇の不当性を主張し、労働審判や訴訟解雇の無効退職金全額慰謝料を要求できる
  • 争いながらも、失業保険の会社都合認定や、健康保険・年金の手続きを進めて生活を維持することが重要

懲戒解雇は、あなたの人生を否定するものではありません。不当な処分に対しては、弁護士という最高の味方と共に、毅然とした態度で権利と生活を守り抜きましょう。

→ 関連ページ:『Step 1: 全てを記録する。未来の自分のために』

→ 関連ブログ:『労災認定の基準と申請の具体的手順【2025年最新版】』

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