ハラスメント被害の弁護士費用、法テラスで安くできる?

ハラスメント被害に遭ったとき、
「加害者や会社に責任を取ってほしい」
と思うのは当然の気持ちです。でも、弁護士に相談したいけれど
「費用が高そうで…」
と躊躇していませんか?
実は、経済的に厳しい状況の方でも弁護士のサポートを受けられる制度があるんです。それが「法テラス」の民事法律扶助制度。うまく活用すれば、弁護士費用は法テラスを使っても無料にはなりませんが、相場の半額程度まで安くなります。
今回は、ハラスメント被害で泣き寝入りしないために知っておきたい、法テラスを使った弁護士費用の軽減方法について詳しく解説します。
法テラスって何?どんなサービスが受けられるの?
「法テラス」とは、簡単にいうと、お金がない人でも法律サービスを受けることができるように、国が設立した総合案内所です。正式名称は「日本司法支援センター」といい、2004年に設立されました。
法テラスで受けられる主なサービス
1. 無料法律相談
⇒ 資力が一定の基準以下の方は、法テラスを利用して、同一案件で3回まで、相談料の援助を受け、無料の相談を行うことができます。通常は30分5,000円~1万円かかる法律相談が、条件を満たせば無料になります。
2. 弁護士費用の立替制度(民事法律扶助)
⇒ 着手金や実費を法テラスが立て替えてくれるため、まとまったお金がなくても弁護士に依頼できます。立替えた費用は、分割でのお支払いとなります。利息等はありません。
3. 情報提供サービス
⇒ 法的トラブルの解決に役立つ情報や、適切な相談窓口を教えてもらえます。
🔑 ワンポイント
法テラスは国が運営する制度なので、安心して利用できます
法テラスを利用できる条件は?
法テラスの利用には、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
1. 収入・資産基準を満たしていること
例えば3人世帯の場合、世帯の平均月収が272,000円以下、保有資産が270万円以下の家庭が対象になります。
収入基準の例(手取り月収)
- 単身者
⇒ 一級地(東京23区等)200,200円以下、その他182,000円以下 - 2人家族
⇒ 一級地276,100円以下、その他251,000円以下 - 3人家族
⇒ 一級地299,200円以下、その他272,000円以下 - 4人家族
⇒ 一級地328,900円以下、その他299,000円以下
資産基準の例
- 単身者
⇒ 180万円以下 - 2人家族
⇒ 250万円以下 - 3人家族
⇒ 270万円以下 - 4人家族
300万円以下
2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと
勝訴の見込み(自己破産であれば裁判所の免責決定が出るか、離婚調停であれば調停成立の見込み)があることなどの条件を満たしているか確認します。ハラスメント事案では、適切な証拠があれば多くの場合この条件をクリアできます。
3. 民事法律扶助の趣旨に適すること
報復や嫌がらせのみを目的とした訴訟でないことが条件です。ハラスメント被害の救済が目的であれば、通常は問題ありません。
🌈 ちょっと一息
家賃や住宅ローン、医療費などの支出がある場合は、基準額に一定額が加算されることもあります
ハラスメント事案での法テラス費用はどのくらい?
一般的なハラスメント事案の場合
示談交渉の場合
- 着手金
⇒ 約6万円~10万円 - 実費
⇒ 約2万円 - 成功報酬
⇒ 一律経済的利益の10%
調停・訴訟の場合
- 着手金
⇒ 約15万円~25万円 - 実費
⇒ 約3万円~5万円 - 成功報酬
⇒ 経済的利益の10%~15%
通常の弁護士費用との比較
弁護士費用には、相談料・着手金・成功報酬などが含まれます。これらの費用は全て法律事務所が設定するため、詳細な金額は提示できませんが、トータルで約100万円が相場となります。
つまり、法テラスを使った場合、弁護士費用の相場より半額程度(50%OFF)にまで安くなるんです。
法テラス利用時の注意点
メリット
- 弁護士費用が大幅に安くなる
- 無利息の分割払いが可能
- 初期費用がほとんどかからない
- 生活保護受給者は返済免除の場合もある
デメリット
- 利用条件の審査に時間がかかることがある
- すべての弁護士が法テラスと契約しているわけではない
- 訴訟の長期化や複雑化に伴い、費用が予想以上に膨らむケースもある
- 敗訴した場合も基本的に費用の返済は必要
費用倒れのリスクも考慮して
ハラスメント問題の慰謝料は、内容により異なりますが、数万円から数十万円程度のこともあります。そのため、会社から慰謝料・損害賠償を勝ち取ったとしても、弁護士費用・裁判費用を支払うと、終わってみたら手元にお金が残らない、場合によっては出費のほうが高くなってしまうケースもあります。
法テラス以外の選択肢も検討を
着手金無料の法律事務所
残業代請求の場合、着手金は無料になっている事務所が多いです。ハラスメント事案でも、着手金無料・成功報酬制の事務所が増えています。
弁護士費用保険の活用
事前に弁護士費用保険に加入していれば、保険で弁護士費用をカバーできる場合があります。
労働審判の活用
訴訟より費用が安く、迅速な解決が期待できる労働審判という手続きもあります。
まとめ
法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、経済的な理由で弁護士への相談を諦める必要はありません。収入や資産が基準以下であれば、通常の半額程度で弁護士のサポートを受けることができます。
ただし、利用には条件があり、審査も必要です。また、慰謝料の金額によっては費用倒れのリスクもあるため、事前に弁護士とよく相談することが大切です。
ハラスメント被害で悩んでいる方は、一人で抱え込まず、まずは法テラスの無料相談を利用してみてください。法テラスサポートダイヤル(0570-078374)で相談予約ができます。あなたの状況に最適な解決方法を見つけるために、専門家の力を借りることをおすすめします。
経済的な不安を理由に泣き寝入りする必要はありません。適切な制度を活用して、あなたの権利を守っていきましょう。
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