SHARE:

休職中に陥りやすい「頑張りすぎのワナ」

休職中に陥りやすい「頑張りすぎのワナ」
休職中に陥りやすい「頑張りすぎのワナ」

ハラスメントで心身ともに疲れ果て

ようやくたどり着いた休職という時間。しかし、そこで

 「早く回復しなきゃ」
 「何もしていない自分はダメだ」

自分を追い詰めてはいませんか?

それは、心の回復を遅らせる最大の「ワナ」です。休職とは、心と体が完全にエネルギーを使い果たした状態であり、最も必要なのは罪悪感を抱くことなく休むことです。

この記事では、休職中に陥りやすい「頑張りすぎのワナ」を生む心理的要因を分析し、そのワナから抜け出し、「何もしない」ことの重要性を理解するための具体的な思考法を解説します。

休職中に「頑張りすぎるワナ」を生む2つの罪悪感

休職中に「頑張りすぎる」という行動の裏には、自己否定や経済的な不安に基づく強い罪悪感が隠れています。この具体的な罪悪感の正体を知ることが、ワナから抜け出す第一歩です。

1. 「経済的な不安」と「迷惑をかけている」という罪悪感

傷病手当金や休職制度を利用している状況に対し、会社や同僚に迷惑をかけていると感じる罪悪感です。

  • 経済的論理の誤り
    ⇒ 傷病手当金は、あなたが加入していた健康保険の制度であり、あなたの正当な権利です。多くの場合、会社が直接的な経済的負担を負っているわけではありません
  • 制度の理解
    ⇒ 休職制度は、会社の安全配慮義務の一環として就業規則に定めることが望ましいとされており、制度の利用は労働者の権利です。迷惑ではありません

2. 「無価値感」と「早く回復しなきゃ」という焦り

会社という社会的な場所から離れたことで、自分が社会的に無価値になったと感じ、その焦りから回復を急いでしまいます。

  • 焦りの原因
    ⇒ 回復を急ぐ背景には、「休んでいる自分はダメだ」という自己否定の気持ちがあります
  • 回復の事実
    ⇒ 心の回復は、直線的な階段ではなく、良い日と悪い日がある「波」で進みます。焦りは波を大きくし、回復を遠ざけます

🔑 ワンポイント
休職とは「未来の自分への投資」です。心と体が求めるままに休むことが最大の治療法です

「回復を焦らない」ための時間軸の思考法

焦りというワナから抜け出すためには、時間や回復に対する誤った認識を修正する必要があります。

 「休職=立ち止まる時間」

という認識を、

 「未来のための投資」

という視点の転換を促しましょう。

1. 回復を「波」として捉える思考法

回復には必ず波があり、調子の悪い日もあれば良い日もあります。

  • 波を受け入れる
    ⇒ 調子の悪い日を「後退」ではなく、「体が休息を強く求めているサイン」だと認識します
  • 記録をつける
    ⇒ 日々の体調の小さな変化を記録することで、大局的には回復に向かっていることを客観的に理解できます

2. 休職を「投資」と捉える視点転換

休職期間は、ネガティブな「立ち止まる時間」ではなく、未来の自分をより強くするための時間です。

  • 未来の視点
    ⇒ この休養が、将来のキャリアで数年、数十年と安定して働くための土台作りになっていると考えます
  • 無駄ではない
    ⇒ 「回復のために寝ている時間」や「ただぼーっとする時間」こそが、心身の負荷をかけない範囲で自然に過ごすことであり、最も生産性の高い時間であると認識します

🌈 ちょっと一息
心の回復は階段ではなく波で進みます。焦らず、自分自身の波を受け入れることが大切です

「頑張らない」ための具体的な休日の過ごし方

休職中に「回復のための努力」をすることは、再び自分を追い詰めることにつながります。ここでは、回復を妨げる「やってはいけないこと」と、逆に「試してもいい小さなこと」を具体的に提示します。

1. 休職中に「頑張ってはいけない」こと

焦りや無価値感から、つい手を出しがちな行動を避けましょう。

  • SNS・ニュースの断絶
    ⇒ 他者の「頑張っている情報」やネガティブなニュースは、無価値感を刺激し、回復を妨げます。可能な限り電源をオフにしましょう
  • 大きな決断
    ⇒ 体調が安定する前に、退職や転職といった大きな決断を下すことは避けてください
  • 回復のための努力
    ⇒ 「朝〇〇時に起きて運動をする」といった義務的なノルマは設定しないでください。心身が求めるままに過ごすことが最優先です

2. 「ただぼーっとする」という積極的な過ごし方

心身の負荷をかけない範囲で自然に過ごすことは、心と脳を完全に休ませるための最も積極的な治療法です。

  • 散歩
    ⇒ 目的を持たず、ただ風を感じるための短い散歩を試してみましょう
  • 瞑想(マインドフルネス)
    ⇒ 無理に集中しようとせず、ただ呼吸に意識を向ける時間を数分間設けます
  • 読書(非業務系)
    ⇒ 仕事とは無関係な、心が軽く感じる程度の読書を楽しみましょう

まとめ

今回は、休職中に陥りやすい「頑張りすぎのワナ」を生む罪悪感と、そこから抜け出すための具体的な思考法について解説しました。

この記事のポイント

  • 休職中の「頑張りすぎ」は、経済的な不安無価値感という2つの罪悪感から生じる
  • 回復はで進むことを理解し、休職を「未来の自分への投資」と捉える視点転換が重要である
  • SNSやニュース断ちをし、心身の負荷をかけない範囲で自然に過ごすという最も積極的な治療法を実践する

自分を責めず、心と体が求めるままに休むことこそが、あなたの回復を早める最大の治療法です。罪悪感を抱えることなく、休息に専念してください。

→ 関連ページ:『「休む」と決める勇気。休職手続きと有意義な過ごし方』

→ 関連ブログ:『ハラスメント後の心の回復期。「やってはいけないこと」3選』

あなたへのおすすめ