ハラスメントの慰謝料請求、いつまで可能?「時効」の知識

ハラスメントが原因で会社を辞めたけれど、
今も心は苦しいまま…。
時間が経ってから「やっぱり、慰謝料の請求を考えたい」と思った時、まず知っておくべきなのが「時効」という法律上のルールです。これは、あなたの権利を守るために非常に大切な知識になります。
そもそも「時効」とは?
「時効」と聞くと、少し難しい法律用語に感じるかもしれませんね。簡単に言うと、これは「権利を行使できる期間の制限」のことです。
ハラスメントの被害を受けたあなたが、加害者に対して慰謝料を請求する権利にも、残念ながらこの時効が定められています。
権利があっても、請求できなくなる期限
なぜこのような期限があるかというと、いつまでも過去の出来事を蒸し返せると、社会の法的関係が不安定になってしまうからです。
そのため、一定期間が過ぎると、たとえあなたに正当な権利があったとしても、法的にそれを主張できなくなってしまうのです。
ハラスメントの慰謝料請求、時効はどれぐらい?
では、具体的にハラスメントの慰謝料を請求できる期間はいつまでなのでしょうか。これは、あなたが「誰から、どのような被害を受けたか」を知った時から数えるのが基本です。
原則は「3年」です
不法行為による損害賠償請求権の時効は、「被害者が損害及び加害者を知った時から3年間」と民法で定められています。
ハラスメントの場合、「最後のハラスメント行為があった日」や「ハラスメントが原因で退職した日」などが、この3年のカウント開始日になることが多いです。
2020年4月の民法改正による変更点
なお、2020年4月1日に改正民法が施行され、人の生命または身体を害する不法行為の時効は「5年」に延長されました。
ハラスメントによって精神疾患を発症した場合などは、こちらの5年が適用される可能性もあります。
どちらの時効が適用される?
3年と5年のどちらが適用されるかは、具体的な状況によって判断が分かれるため、専門家である弁護士に相談することが不可欠です。
時効を止める(更新する)ためにできること
「時効が迫っているかも…」と焦る必要はありません。時効の完成を阻止するための法的な手段があります。
「裁判上の請求」が最も確実です
時効の進行を止める最も確実な方法は、訴訟を起こすなどの「裁判上の請求」です。また、内容証明郵便で請求書を送付(催告)することでも、一時的に(6ヶ月間)時効の完成を遅らせることができます。
大切なのは、諦めずにアクションを起こすことです。
🔑 ワンポイント
時効は1日でも過ぎると権利を失う、非常に厳しいルールです。少しでも考え始めたら、すぐに専門家へ相談してください
🌈 ちょっと一息
一人で法律のことを調べるのは大変ですよね。焦らず、まずは弁護士などの無料相談を利用してみるのがお勧めです
まとめ
ハラスメントの慰謝料を請求する権利には、「時効」という時間制限があり、原則として被害と加害者を知ってから3年(場合によっては5年)ということを覚えておいてください。
もし、あなたが今も苦しんでいて、何か行動を起こしたいと考えているのなら、手遅れになる前に、一度専門家に相談してみることをお勧めします。
弁護士費用などが心配な方は、まずはこちらの記事で相場観を知っておくと、少し不安が和らぐかもしれません。
→ 関連ページ:『弁護士費用と慰謝料のリアルな話【相場と請求の知識】』へ