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「適応障害」と「うつ病」 診断書と休職期間の目安は?

「適応障害」と「うつ病」 診断書と休職期間の目安は?

職場のハラスメントが原因で心身に不調を感じ、

勇気を出して心療内科を受診したあなた。

医師から

 「適応障害ですね」
 「うつ病の可能性があります」

と告げられ、休職を勧められた時、安堵すると同時に多くの疑問や不安が湧いてきたのではないでしょうか。

 「適応障害とうつ病って、何が違うの?」
 「診断書に書かれた休職期間の根拠は何だろう?」
 「この診断書は、会社にどう影響するんだろう?」

この記事では、医師など専門家の視点に基づき、こうした疑問に答える形で、「適応障害」と「うつ病」の基本的な違い、診断書の意味、そして休職期間がどのように判断されるのかについて、分かりやすく解説していきます

※この記事は医学的な知見を解説するものであり、診断や治療を目的としたものではありません。ご自身の症状については、必ず専門の医療機関にご相談ください。

「適応障害」と「うつ病」は何が違う?

どちらも気分の落ち込みや不眠、食欲不振といった似た症状が現れるため混同されがちですが、医学的には明確な違いがあります。

最も大きな違いは「ストレス原因との関連性」

専門家によると、両者を見分ける最も大きなポイントは、

 「特定のストレス原因から離れた時に、症状が改善するかどうか」

です。

適応障害の特徴

「職場のパワハラ」のように、症状の原因となっているストレスがはっきりしているのが特徴です。そのため、そのストレス環境(職場など)から離れることで、比較的短期間(数週間~数ヶ月)で症状が改善する傾向にあります。

うつ病の特徴

うつ病は、特定のストレスがきっかけになることもありますが、ストレス原因から離れても、憂うつな気分や意欲の低下といった症状が2週間以上、ほぼ毎日続く状態を指します。

脳のエネルギーが欠乏した状態とも言われ、回復には十分な休養と治療が必要になります。

🔑 ワンポイント
適応障害の状態が長引くことで、うつ病に移行するケースも少なくありません

診断書に書かれる「休職期間」の目安はどう決まる?

医師が診断書に「〇ヶ月の休養を要す」と記載する期間は、決して適当に決めているわけではありません。そこには、医学的な根拠に基づいた判断があります。

症状の重さと回復への見通し

まず、診察時のあなたの症状(不眠の程度、気分の落ち込み具合、思考力の低下など)がどのくらい重いかを判断します。

その上で、それぞれの病気の特性に合わせて、心と体が回復するために最低限必要だと考えられる期間を算出します。

適応障害の場合

原因となるストレスから離れ、心身をリセットするために必要な期間として「1ヶ月~3ヶ月」が一つの目安とされることが多いです。

うつ病の場合

脳のエネルギーを十分に回復させ、症状を安定させるためには、より長い休養が必要になることが一般的です。

「3ヶ月~6ヶ月」、あるいはそれ以上の期間が必要と判断されることもあります。

🌈 ちょっと一息
休職期間はあくまで「目安」であり、回復の状況に応じて延長されることもあります。焦る必要は全くありません

診断書の「意味」と、医師に伝えるべきこと

医師から渡される「診断書」は、あなたの状況を会社に伝え、休職という正当な権利を主張するための非常に重要な書類です。

診断書が持つ「証明力」とは

診断書は、あなたの症状が

 「個人的な甘えや怠けではなく、専門的な治療と休養を必要とする医学的な状態」

ということを、医師が専門家として証明してくれるものです。

法的な強制力があるわけではありませんが、企業には従業員の健康と安全に配慮する義務(安全配慮義務)があるため、ほとんどの場合、医師の診断は尊重され、休職が認められます。

適切な診断のために「医師に伝えるべきこと」

診察時間は限られています。適切な診断と休職期間を判断してもらうためには、事前に伝えるべきことを整理しておくのがおすすめです。

  • 一番つらい症状は何か
    ⇒ 「眠れない」「涙が止まらない」「頭が働かない」など
  • いつから、どんなきっかけで症状が始まったか
    ⇒ 職場での具体的な出来事(パワハラ、過重労働など)
  • 仕事や日常生活に、どんな支障が出ているか
    ⇒ 「簡単なミスが増えた」「朝、起き上がれない」など
  • 可能であれば、簡単な時系列メモを持参する

🔑 ワンポイント
「こんなことを言ったら大袈裟だと思われるかも…」とためらわず、正直に、具体的に伝えることが何よりも大切です

まとめ

今回は、「適応障害」と「うつ病」の違いや、診断書、休職期間の決まり方について、専門家の視点を基に解説しました。

  • 適応障害とうつ病の大きな違いは、ストレス原因から離れて症状が改善するかどうか
  • 休職期間は、症状の重さや病気の特性に応じて、医学的根拠に基づいて判断される
  • 診断書は、あなたの状態を客観的に証明し、休養という権利を守るための重要な書類である

医師から「適応障害」や「うつ病」と診断されると、ショックを受けたり、将来への不安を感じたりするかもしれません。

しかし、それはあなたの心が

 「もう限界だよ」

と正直にサインを出してくれたということです。そして、それは決してあなたの甘えや弱さのせいではありません。

専門家である医師の判断を信頼し、今は仕事のことから一旦離れて、心と体を休ませることに専念してください。それが、結果的に一番の回復への近道になるのですから

→ 関連ページ:『専門家(医師・カウンセラー)を最高の味方にする方法』

→ 関連ページ:『「休む」と決める勇気。休職手続きと有意義な過ごし方』

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