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寝る前に不安をリセット。頭を空っぽにする「書く習慣」

寝る前に不安をリセット。頭を空っぽにする「書く習慣」
寝る前に不安をリセット。頭を空っぽにする「書く習慣」

布団に入って目を閉じると

今日あった嫌な出来事や、明日の不安が次々と頭に浮かんできて眠れない。 そんな脳内反省会に苦しんでいませんか?

考えないようにすればするほど、思考はぐるぐると巡り、脳は興奮状態になってしまいます。 そんな夜に最も効果的なのが、頭の中にあるものを物理的に外へ出すことです。

この記事では、心理学的にも効果が実証されている「ジャーナリング(書く瞑想)」のメソッドを使い、寝る前に脳内のゴミ出しをして、頭を空っぽにする具体的な手順を解説します。

「書く」だけで心が軽くなるのはなぜ?

単に紙に文字を書くだけで、なぜ不安が減るのでしょうか。 これには、脳のワーキングメモリ(作業記憶)の仕組みが関係しています。

脳のメモリを解放する

悩みや不安を頭の中で抱えている状態は、パソコンで言うと「大量のアプリを開きっぱなしにしている状態」と同じです。 メモリが圧迫され、脳の処理速度が落ち、ストレス負荷がかかり続けます。

これを紙に書き出すことは、データを外部ストレージ(紙)に移して、メモリを解放する作業にあたります。 「ここに書いたから、もう覚えておかなくていい」と脳に認識させることで、過剰な緊張を解く助けになるんです。

筆記開示(エクスプレッシブ・ライティング)の効果

心理学では、自分の感情や思考を包み隠さず書き出す手法を「筆記開示(Expressive Writing)」と呼びます。 テキサス大学のジェームス・ペネベイカー博士らの研究(1986年)により、以下の効果が示唆されています。

  • 客観視
    ⇒ 文字にすることで、悩みを「自分の一部」から「観察対象」として切り離せる
  • 感情の浄化
    ⇒ ネガティブな感情を吐き出すことで、ストレスが軽減される
  • 睡眠の質向上
    ⇒ 入眠までの時間が短くなり、深く眠れるようになる傾向がある

今夜からできる「ブレインダンプ」のやり方

では、具体的にどのように書けばいいのでしょうか。 ここでは、思考を全て出し切る「ブレインダンプ(脳の掃除)」という手法を紹介します。 用意するのは、紙とペンだけです。

手順①:制限時間を決める

ダラダラと書き続けると、かえって嫌な記憶を強化してしまうことがあります。 タイマーをセットし、5分〜10分程度に区切って行います。

手順②:手を止めずに書き殴る

頭に浮かんだことを、脈絡なく、とにかく書き出し続けます。 ここで重要なルールは以下の通りです。

  • 綺麗に書かない
    ⇒ 誤字脱字や汚い字は気にせず、思考のスピードに合わせて手を動かす
  • 検閲しない
    ⇒ 「こんなことを思っちゃダメだ」と自分を制限せず、汚い言葉もそのまま書く
  • 解決しようとしない
    ⇒ 解決策を探すのではなく、ただ「出す」ことだけに集中する

「上司の顔がムカつく」「明日の会議が怖い」「もう全部投げ出したい」 心に浮かぶ(おり)を、そのまま紙に叩きつけるようなイメージです。

🔑 ワンポイント
※書き出していて辛くなりすぎた場合はすぐに中止してください。深いトラウマなどは、無理に一人で掘り起こさず専門家と扱うのが安全です

手順③:感情にラベルを貼る

書き出した言葉を眺めて、

 「自分は今、こう感じているんだな」

と確認します。

「怒り」「悲しみ」「無力感」など、自分の感情に名前(ラベル)をつけることで、脳の扁桃体(感情や恐怖を感じる部位)の興奮が鎮まることが脳科学的にも分かっています。

書いた紙はどうする?「物理的に捨てる」儀式の効果

書き終わった紙は、どうすればいいでしょうか。 日記として残すのも良いですが、ネガティブな感情を吐き出した紙は、捨ててしまうことをおすすめします。

「捨てる」ことで脳に完了を告げる

書いた紙をクシャクシャに丸めてゴミ箱に投げ捨てる、あるいはビリビリに破く。 この「物理的に破壊して捨てる」という行為自体が、脳に対して「この悩みは処理済み(完了)である」という強力なメッセージになります。

実際に、オハイオ州立大学などの研究(2012年)でも、ネガティブな思考を書いた紙を捨てることで、その思考への囚われが減ることが示されています。

誰にも見せない紙だからこそ、安心して全てを吐き出し、そして手放すことができるんです。

まとめ:脳のゴミ出しをして、良質な睡眠へ

寝る前の時間は、反省のためにあるのではありません。 明日へのエネルギーを回復するための、神聖な休息の時間です。

この記事のポイント

  • 書くことは、脳のメモリを解放しストレスを軽減する効果が期待できる
  • 綺麗に書こうとせず、感情のままに書き殴ることがデトックスになる
  • 書いた紙を物理的に「捨てる」ことで、悩みへの執着を手放せる

頭の中が不安やモヤモヤでパンパンになっている時は、無理に寝ようとせず、一度すべて紙の上に預けてみてください。 書くことは、あなたを苦しめる感情を、自分の中から切り離して客観視するための、安全で手軽な手段です。

「頭を空っぽ」にする感覚を味わえれば、張り詰めていた神経が緩み、自然と深い眠りが訪れやすくなります。 今日という日をリセットし、明日を新しい気持ちで迎えるために、今夜から「書く習慣」を始めてみませんか。

→ 関連ページ:『Step 1: 全てを記録する。未来の自分のために』

→ 関連ブログ:『「あの時こうすれば」 過去の後悔を断ち切る方法とは』

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