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悪気がないのが一番タチが悪い 職場のSOGIハラ防衛Q&A

悪気がないのが一番タチが悪い 職場のSOGIハラ防衛Q&A
悪気がないのが一番タチが悪い 職場のSOGIハラ防衛Q&A

職場で「彼氏は作らないの?」

 「男のくせに細かいな」

といった言葉を投げかけられ、モヤモヤした経験はありませんか? 言った本人には悪気がなく、むしろ「コミュニケーションの一環」だと思っているケースが多いため、指摘しづらいのが現状です。

しかし、性的指向や性自認(SOGI)に関する侮辱や干渉は、国の指針(パワハラ防止法)でも定義されているハラスメントの一種です。

近年では、SOGIハラが原因の精神疾患が労災認定される事例も出てきており、決して軽視できない問題となっています。

この記事では、職場に潜む無自覚なSOGIハラの実態と、あなたの心を守るための具体的な対処法を、Q&A形式で詳しく解説します。

Q1. 具体的にどんな言動が「SOGIハラ」になるの?

A. 以下のリストにある言動は、状況によってSOGIハラに該当する可能性があります。

SOGIハラは、LGBTQ+当事者に対するものだけではありません。 「すべての人の性」に関するハラスメントであり、無意識の偏見から発せられる言葉が多く含まれます。

以下のような言動を受けていないか、チェックしてみてください。ただし、これらは人間関係や文脈によって判断が分かれるため、一律にクロとは限りませんが、あなたが苦痛を感じていればハラスメントになり得ます。

日常会話に潜むSOGIハラ・チェックリスト

  • プライバシーへの過度な介入
    ⇒ 「結婚はまだ?」「彼氏(彼女)はいないの?」としつこく聞く
  • 性別役割の押し付け
    ⇒ 「女なんだからお茶を出しなよ」「男のくせに弱音を吐くな」と強要する
  • 差別的な冗談・からかい
    ⇒ 「あいつ、ホモっぽいよな」「オネエ言葉で喋ってよ」とネタにする
  • 見た目の否定
    ⇒ 「もっと男らしい格好をしろ」「化粧が濃すぎる」と個人の表現を否定する
  • 勝手な決めつけ
    ⇒ 「あの子はレズビアンに違いない」と噂し、避ける(人間関係からの切り離し)

特に注意が必要なのが、本人の同意なく性的指向などを第三者に暴露するアウティングです。 これは「良かれと思って(相談に乗るつもりで)」行われることもありますが、被害者の尊厳を傷つける重大な権利侵害となります。

Q2. 「悪気はない」上司や同僚にどう対処すればいい?

A. 正面から戦わず、「境界線」を引いて記録を残しましょう。

加害者に悪気がない場合、こちらが不快感を示すと「冗談の通じないやつだ」「コミュニケーションをとろうとしただけなのに」と逆ギレされるリスクがあります。

真正面から説得しようとせず、自分を守ることに徹するのが賢い対応です。

反応しない・受け流す技術

プライベートな質問に対しては、まともに答える必要はありません。 以下のようなフレーズで、やんわりと、しかし拒絶の意思を示して会話を終わらせます。

  • オウム返し
    ⇒ 「〇〇課長はそう思われるんですね」と感情を入れずに返す
  • 話題を変える
    ⇒ 「それはそうと、昨日の件ですが」と業務の話に切り替える
  • アイ・メッセージ
    ⇒ 「私はそういう話題は苦手なんです」と自分の感覚として伝える

「いつ・誰が」を記録する

それでも執拗に続く場合は、ハラスメントとしての証拠能力を持たせるために記録を残します。 「悪気がない」という言い訳は、記録された事実の前では通用しません。

  • 日記やメモ
    ⇒ 日時、場所、発言内容、周囲に誰がいたかを具体的に書く
  • 録音
    ⇒ 状況によっては有力な証拠になり得るため、身を守る手段として検討する

🔑 ワンポイント
「悪気がないから許される」ということはありません。受け手が苦痛を感じ、就業環境が害されていればハラスメントとして扱われる可能性があります

Q3. 会社に相談しても「気にしすぎ」と言われない?

A. 会社には防止措置義務があるため、適切な窓口であれば対応されるはずです。

「こんなことで相談してもいいのかな?」と迷う必要はありません。 現在は「パワハラ防止法」の指針において、SOGIハラやアウティングは事業主が防止すべきハラスメントとして明記されています。

もし会社が事実を知りながら放置すれば、それは会社の安全配慮義務違反(法的責任)を問われる事態になりかねません。 相談する際は、以下の手順を踏むとスムーズです。

  1. 就業規則を確認する
    ⇒ ハラスメント防止規定に「性的指向・性自認に関する言動」が含まれているか見る
  2. 事実ベースで伝える
    ⇒ 「嫌な気持ちになった」だけでなく、「この発言により業務に支障が出ている」と実害を伝える
  3. 専門窓口を使う
    ⇒ 直属の上司が理解不足な場合は、人事部やコンプライアンス窓口、外部の相談窓口を利用する

🌈 ちょっと一息
SOGIハラは「個人の価値観」の問題ではなく、「労働環境」の問題です。会社には環境を整える責任があります

まとめ:自分の「違和感」を信じて守る

「みんな我慢しているから」「悪気はないから」といって、あなたが傷つき続ける必要はどこにもありません。 そのモヤモヤとした違和感は、あなたの尊厳が侵害されているという重要なサインです。

この記事のポイント

  • 「男らしく・女らしく」の強要や、プライベートの詮索はハラスメントになり得る
  • 悪気がない相手には、まともに取り合わず記録を残して自衛する
  • 国の指針で定義された問題であり、会社には防止措置を講じる義務がある

チェックリストに当てはまる項目があれば、それはあなたの我慢不足ではありません。 正しい知識と対処法を持って、自分らしい働き方と心を守り抜きましょう。

→ 関連ページ:『セクハラ、モラハラ…心を蝕む攻撃の種類と実例』

→ 関連ブログ:『「SOGIハラ」って何?知らずに加害者になる前に』

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