正義感で動くと失敗する? 被害者の同僚ができる事と「限界」

目の前で上司に詰められている同僚
日に日に元気をなくしていく姿を見て、
「私がなんとかしてあげなきゃ」
「このままじゃあの人が壊れてしまう」
と、強い義憤や焦りを感じていませんか?
その正義感はとても尊いものです。しかし、ハラスメントの現場では、良かれと思って取った行動が、かえって事態を悪化させたり、あなた自身まで巻き込まれて共倒れになったりするケースが少なくありません。
この記事では、被害を受けている同僚を「守る」ために、あえて知っておくべき支援の「限界(やってはいけないこと)」と、安全かつ効果的な「距離感」について解説します。
やってはいけない「代弁者」の役割
正義感の強い人が最も陥りやすいのが、本人の代わりに戦おうとしてしまうことです。
「私が部長にガツンと言ってやる!」
と乗り込んだり、本人の許可なく人事部に通報したりする行為は、以下の理由から推奨されません。
- 本人の主体性を奪う
⇒ ハラスメント解決のゴールは本人の回復と自立ですが、周囲が先回りすると「自分では何もできない」という無力感を強めてしまう恐れがあります - 報復のリスクが高まる
⇒ 第三者が介入することで加害者が逆上し、見えないところで陰湿な報復(無視や業務外し)が加速するケースがあります - 事実関係が歪む
⇒ 当事者ではないあなたの証言は「伝聞」に過ぎず、正確な事実確認の妨げになることがあります
🔑 ワンポイント
支援者の役割は、本人の代わりに剣を取って戦う「騎士」になることではありません。本人が自分で戦えるようになるまで、横でペースを合わせて走る「伴走者」になることです
あなたができる「最大かつ安全な支援」
では、直接対決せずに同僚を支えるにはどうすればよいのでしょうか。 専門家の多くは、特別な行動よりも「孤立させないこと」が最大の特効薬だと指摘しています。
- 「普通」に接し続ける
⇒ 周囲が腫れ物に触るように遠巻きにする中、あなただけは「おはよう」「お疲れ様」といつも通り声をかける。これだけで「私は独りじゃない」という安心感を与えます - 「証人」として記録する
⇒ 加害現場を目撃したら、あなた自身の日記やメモに「いつ、誰が、何を言っていたか」を記録しておく。これがいざという時、被害者を救う最強の武器になります - 否定せず傾聴する
⇒ 「もっと強く言い返さなきゃダメだよ」といったアドバイスは封印し、「それは辛かったね」とただ話を聞くことに徹します
「共倒れ」を防ぐための心の線引き
同僚を支えたい一心で、自分の生活やメンタルを犠牲にしてはいけません。
被害者の苦しみは深く、そのネガティブな感情をすべて受け止めようとすると、支援者であるあなたが先にメンタルダウンしてしまう「共倒れ」のリスクがあります。
- 時間外の相談に制限を設ける
⇒ 「相談はランチの時間だけ」「休日は返信しない」など、自分のプライベートを守るルールを決め、それを相手にも伝えておくことが長続きの秘訣です - プロへ橋渡しをする
⇒ 「私では役不足かもしれないから」と前置きし、社内の相談窓口や心療内科、カウンセラーなどの専門家につなぐことをゴールにします
まとめ:あなたは救世主にならなくていい
あなたはスーパーヒーローになる必要はありませんし、同僚の人生を背負う必要もありません。 異常な環境の中で、あなたが「普通」の同僚としてそこにいてくれる…。
それだけで、被害者にとっては暗闇の中の灯台のような救いになっています。
「冷たいかな」
と自分を責めず、適切な距離を保つことが、結果としてあなたと同僚の両方を守ることに繋がると信じてください。
この記事のポイント
- 本人の許可なく代わりに戦う代弁者になることは、事態を複雑化させるリスクがある
- 目撃情報の記録や孤立させない態度こそが、安全で強力な支援となる
- 共倒れを防ぐため、相談を受ける時間や範囲に境界線を引き、専門家へ繋ぐ
「何もしてあげられない」
と無力感を感じる必要はありません。孤立無援の状況下において、あなたが「敵ではない」というポジションでそこに居続けることこそが、被害者にとっては何よりも心強い支えなんです。
いざという時、冷静な証言者として力を貸すためにも、まずはあなた自身の心身を健やかに保つことを最優先にしてください。自分を大切にすることが、結果として大切な同僚を守ることに繋がります。
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