密告はバレる? 労基署へ「匿名」で動いてもらう具体的な手順

会社を通報したいけれど、犯人探しをされるのが怖い…
サービス残業やハラスメントの実態を労働基準監督署(労基署)に訴えたいと考えても、その後の報復や職場の空気が怖くて、二の足を踏んでしまう人は多いはずです。
確かに、やり方を間違えると
「あいつがチクったんじゃないか?」
と疑われるリスクはゼロではありません。
しかし、労基署には法律で定められた守秘義務があり、正しい手順を踏めば、あなたの正体を隠したまま調査してもらうことも十分に可能です。
この記事では、労基署への通報で会社にバレる確率と、匿名性を守りながら調査してもらうための具体的なテクニックについて解説します。
労基署には絶対の「守秘義務」がある
まず安心していただきたいのは、労働基準監督署の職員(労働基準監督官)には、法律によって厳格な「守秘義務」が課せられているという事実です。
会社側が
「誰からの通報ですか?」
と激しく詰め寄ったとしても、監督官があなたの名前を漏らすことは絶対にありません。彼らはプロですので、
「あくまで定期的な巡回調査(定期監督)の一環です」
といった建前を使って、巧みに調査に入ってくれます。
ですので、「労基署がうっかり名前を漏らす」というケースは、基本的にはないと考えて大丈夫です。
🔑 ワンポイント
監督官は、通報者が特定されないよう最大限の配慮をしてくれます。相談時に「絶対に匿名にしてほしい」と念押しすれば、さらに慎重に動いてくれます
それでも「バレる」ケースとは?
監督官が名前を言わなくても、状況証拠から「あなたしかいない」と会社に推測されてしまうケースがあります。
特に以下のような状況では、匿名性を保つのが難しくなるため注意が必要です。
- 従業員が極端に少ない
⇒ 小規模な部署や会社の場合、不満を漏らしていた人物が特定されやすくなります。 - 自分しか知らない情報を話す
⇒ 密室でのハラスメントや、特定の個人しか担当していない業務の不備などは、通報内容からすぐに推測されてしまいます。 - 個人の未払い請求
⇒ 「私の残業代が払われていない」という調査をするには、当然ながらあなたのタイムカードや給与明細を調べる必要があるため、匿名にはできません。
🌈 ちょっと一息
あなた個人の未払い残業代を取り戻したい場合は、匿名では不可能です。その場合は「退職後」に請求するのが、報復を避けるセオリーです
「定期監督」を装ってもらうテクニック
では、リスクを最小限にして動いてもらうにはどうすればよいのでしょうか。
最も有効なのは、個別の救済を求める「申告」ではなく、あくまで「情報の提供」という形で依頼し、「定期監督(抜き打ち調査)」を装ってもらうことです。
相談する際に、以下のようにお願いしてみましょう。
- 全体の問題として伝える
⇒ 「私だけでなく、部署全体で残業代が未払いになっている」と伝え、ターゲットをぼかします。 - きっかけを指定する
⇒ 「最近、求人を出していますよね? そのタイミングでの調査ということにしてください」など、調査に入る自然な口実を提案します。
このように「偶然を装って調査に入ってもらう」ことで、会社側に「誰かが通報した」と勘ぐらせる隙を与えずに、是正勧告を出してもらうことが可能になります。
🔑 ワンポイント
※調査の方法や名目は最終的に監督官が判断します。こちらの希望が100%通るとは限らない点は理解しておきましょう
まとめ:目的を整理して使い分けよう
匿名での通報は、自分の身を守りながら会社の違法状態を正すための有効な手段です。
一方で、匿名である以上、あなた個人の被害(未払い金など)を直接解決してもらうことは難しくなります。
「会社の環境を良くしたいのか」それとも「自分のお金を取り戻したいのか」
目的によってアプローチを変えることが、賢い労基署の使い方と言えるでしょう。
この記事のポイント
- 労基署には守秘義務があり、通報者の名前を漏らすことはない
- 少人数の職場や個人的な案件では、状況から推測されるリスクがある
- 「定期監督」を装って調査してもらうよう依頼すれば、特定されにくい
勇気を出して行動を起こそうとするあなたを、法律はしっかりと守ってくれます。バレるリスクを過度に恐れすぎず、まずは「情報の提供」という形で声を上げてみてください。
あなたのその行動が、理不尽な環境に苦しむ同僚、そして未来の自分自身を救うきっかけになるはずです。決して一人で抱え込まず、プロの力を借りながら一歩ずつ前に進んでいきましょう。
→ 関連ページ:『正当な権利『労災申請』で心と生活を守るための全手順』へ
→ 関連ブログ:『労働基準監督署が「パワハラと認定しない」4つの理由』へ

