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労災申請で会社が協力的でない場合の「代行申請」

労災申請で会社が協力的でない場合の「代行申請」
労災申請で会社が協力的でない場合の「代行申請」

ハラスメントで心身を病み

勇気を出して労災申請を申し出ても、

 「うちは労災なんて認めない」
 「勝手なことをするな」

と会社が申請用紙への署名・捺印(事業主証明)を拒否するケースが後を絶ちません。

このような対応をされると、

 「会社が認めてくれないなら、労災は降りないんだ」

と諦めてしまいそうになるかもしれません。 しかし、決して諦める必要はありません。そもそも労災保険の給付請求権は「労働者個人の権利」であり、会社の許可や承認は必須ではないんです。

この記事では、会社が非協力的な場合に、自分一人で、あるいは専門家の力を借りて手続きを進めるための具体的な方法「代行申請」について、その仕組みとメリットを詳しく解説します。

最大の誤解「会社の署名がないと申請できない」

多くの人が「会社のハンコ(事業主証明)がないと、労働基準監督署は書類を受け取ってくれない」と誤解しています。 しかし実務上は、会社が証明を拒否した場合でも、申請は可能です。

「事業主証明」とは何か

労災の申請書には、負傷や疾病の原因が業務によるものであると会社が証明する「事業主証明欄」があります。 通常はここに会社の署名・捺印をもらいますが、会社側には以下のような理由で拒否する動機が存在します。

  • 労災隠し
    ⇒ 労災が多いと、一定規模以上の会社では将来的に労災保険料率が上がる「メリット制」の対象になる場合があり、その点を過度に恐れて申請に協力しない会社もあります
  • 責任逃れ
    ⇒ ハラスメントを認めると、民事上の損害賠償請求につながるリスクがあるため
  • 認識の相違
    ⇒ 「あれは指導であり、ハラスメントではない」と主張しているため

署名なしで受理してもらう方法

申請書の「事業主証明欄」が会社の協力を得られず空欄になってしまっても、諦める必要はありません。

労働者側の記入欄をきちんと記載したうえで、「事業主の証明が得られない事情」を説明して労基署に提出すれば、原則として受理され、労基署が会社に事情確認を行う運用になっています。

具体的な書き方や添付すべき書類(申立書の形式など)は、管轄の労働基準監督署の相談窓口で必ず確認してください。 つまり、会社のハンコがないことは、手続き上の些細なハードルに過ぎず、申請を諦める理由にはなりません。

🔑 ワンポイント
会社が「労災は認めない」と言っても、認定するのは会社ではなく「国(労働基準監督署長)」です

プロに頼む選択肢「社会保険労務士」による代行

理論上は自分一人でも事情を説明して申請できますが、メンタル不調を抱えながら、敵対的な会社や、厳格な調査を行う労基署とやり取りするのは、精神的にも肉体的にも過酷な負担となります。

そこで有効な選択肢となるのが、労働問題の専門家である「社会保険労務士(社労士)」や弁護士による「代行申請」です。

「提出代行者」としての役割

社労士は、労働法令に関する専門資格者であり、あなたの代わりに労災申請書類を作成し、提出する権限(提出代行権)を持っています。 依頼することで得られる実務的なメリットは以下の通りです。

  • 書類作成の負担ゼロ
    ⇒ 複雑な申請書や、状況を説明する申立書の作成を任せられます
  • 窓口折衝の代行
    ⇒ あなたが何度も労基署へ足を運ぶ必要がなくなり、担当官との専門的なやり取りも代行してもらえます
  • 精神的な安定
    ⇒ 「味方がいる」という安心感が、療養中の心の支えになります

費用はかかりますが(着手金や成功報酬など、事務所により異なります)、治療に専念するための環境を買うという意味では、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢と言えます。

代行の真のメリットは「因果関係の証明」にある

単に書類を作って出すだけなら、頑張れば自分でも可能です。 しかし、ハラスメント事案において専門家に依頼する最大のメリットは、業務(ハラスメント)と精神疾患(結果)の「因果関係」を証明する能力にあります。

認定のハードルを超えるための「意見書」

精神障害の労災認定は、全体としても認定率が3割前後と高くはなく、仕事との因果関係(心理的負荷の強度など)を厳しくチェックされるため、「認定のハードルが高い」と言われています。

特に会社がハラスメントを否定している場合、そのハードルはさらに上がります。

専門家(特に労災に強い社労士や弁護士)は、あなたの手持ちの証拠(録音、日記、メールなど)を精査し、国の定める「認定基準(心理的負荷の強度)」に照らし合わせて、「なぜこれが労災と認められるべきなのか」を論理的に構成した「意見書」や「申立書」を作成します。

  • 時系列での事実整理
  • 証拠と被害の整合性の説明
  • 会社側の反論に対する法的な再反論

これらは、個人の力だけで作成するのは極めて困難です。 プロの視点で事実を整理し、説得力のある書類を提出することが、認定の可能性を高めるうえで非常に重要なポイントになります。

🌈 ちょっと一息
依頼する際は、必ず「精神障害の労災認定実績」があるかどうかを確認しましょう

まとめ:権利を行使し、治療と生活の補償を

会社の妨害によって、正当な補償(治療費や休業補償)を受ける権利を放棄してはいけません。 「会社が協力しない」ことは、あなたが泣き寝入りする理由にはなりません。

この記事のポイント

  • 会社の署名(事業主証明)がなくても、事情を説明すれば労災申請は受理されることがある
  • 会社が拒否する理由は「メリット制による保険料増の懸念」や「責任逃れ」である場合が多い
  • 専門家への「代行依頼」は、因果関係を整理し、認定の可能性を高める重要な手段である

一人で戦うのが辛い時は、迷わず専門家の「代行」という武器を使い、生活と尊厳を守るための手続きを進めてください。

→ 関連ページ:『正当な権利『労災申請』で心と生活を守るための全手順』

→ 関連ブログ:『労災認定の基準と申請の具体的手順【2025年最新版】』

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