介護休業給付金の申請手続きと支援制度完全ガイド

「介護で休みたいけれど、お金の不安が…」
そんなあなたを支える制度があります。
親の体調が変わってきた、配偶者に介護が必要になった。そんなとき、多くの人が直面するのは「仕事を休んで介護に専念したいけれど、収入がなくなってしまう」という悩みです。
特に職場で
「介護なんて大変だね」
「いつまで続くの?」
といった言葉を投げかけられると、ますます申し出にくくなってしまいます。しかし、あなたには法律で守られた権利があることをご存知でしょうか。
2022年4月の法改正により、企業には介護支援制度の説明義務が課され、働く人の介護環境は大きく改善されました。介護休業給付金をはじめとした公的支援制度を正しく理解して、安心して介護に向き合えるようになりましょう。
介護休業給付金とは:休業期間中の生活を支える心強い制度
給付金の基本内容
介護休業給付金は、雇用保険に加入している人が家族の介護のために仕事を休む際に受け取れる給付金です。休業開始時の賃金の67%が最大93日間支給されます。
支給対象となる条件
- 雇用保険に加入していること
- 休業開始日前2年間に、雇用保険に加入している期間が通算12か月以上あること
- 常時介護を必要とする家族がいること
- 休業終了後に職場復帰する予定があること
2022年4月改正で変わったこと
企業の義務が大幅に強化されました。
個別周知・意向確認の義務化
従業員が介護に直面した際、企業は以下を個別に周知し、利用意向を確認することが義務となりました。
- 介護休業制度
- 介護休暇制度
- 介護休業給付金制度
- 介護のための所定外労働・時間外労働・深夜業の制限
雇用環境整備の義務化
企業は介護と仕事の両立支援に向けた環境整備を行う義務を負います。
- 研修の実施
- 相談窓口の設置
- 制度利用事例の収集・提供
🔑 ワンポイント
これまで「制度があることを知らなかった」「申請方法がわからなかった」という理由で給付を受けられなかった人も、2022年4月以降は企業から確実に情報提供を受けられるようになりました
申請手続きの具体的な流れ:ステップバイステップで解説
申請前の準備
Step 1:対象家族の状態確認
「常時介護を必要とする状態」とは、2週間以上にわたって以下のような介護が必要な状態を指します。
- 歩行の介護
- 排泄の介護
- 食事の介護
- その他日常生活に必要な行為の介護
Step 2:必要書類の準備
- 介護休業給付金支給申請書
- 介護休業申出書(会社に提出したもの)
- 住民票記載事項証明書(続柄が確認できるもの)
- 出勤簿・タイムカード(休業日数確認用)
- 賃金台帳(支払賃金額確認用)
申請タイミングと手続き
申請期間は介護休業終了の翌日から2か月後の月末までです。この期限を過ぎると受給できないため、必ず期限内に申請しましょう。
申請は原則として勤務先を通じてハローワークに行います。ただし、事情がある場合は本人が直接申請することも可能です。
給付金額の計算方法
計算式
⇒ 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
具体例
⇒ 月給30万円の場合⇒ 1日あたり約6,700円(30万円÷30日×67%) 93日間の上限まで利用すると、約62万円の給付となります。
🌈 ちょっと一息
給付金は非課税扱いのため、所得税や住民税がかかりません。また、社会保険料の支払いも免除されるため、実質的な手取り額はさらに多くなります
介護ハラスメント(ケアハラ)から身を守る方法
職場で起こりがちな介護ハラスメント
典型的なケアハラの例
- 「介護なんて迷惑だ」「いつまで続くんだ」といった心ない発言
- 介護休業の申請を受理してもらえない
- 復職後に嫌がらせや不当な配置転換を受ける
- 「介護をしている人は仕事ができない」といった偏見による評価低下
ケアハラを防ぐための事前対策
早めの情報共有
介護が始まりそうな段階で、上司や人事部門に相談しておくことが重要です。2022年4月改正により、企業には支援制度の説明義務があるため、堂々と相談できます。
制度利用の正当性を理解
介護休業や介護休暇は法律で認められた権利です。「迷惑をかけて申し訳ない」と思う必要はありません。
もしケアハラを受けてしまったら
- 社内の相談窓口やハラスメント担当部署に報告
- 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談
- 労働基準監督署への相談
- 専門機関や弁護士への相談
まとめ
介護休業給付金は、働く人が安心して家族の介護に向き合えるよう設けられた重要な制度です。2022年4月の育児・介護休業法改正により、企業の支援体制が強化され、制度を利用しやすい環境が整っています。
今すぐできること
- 勤務先の介護支援制度について人事部門に確認する
- 雇用保険の加入状況を確認する
- 家族の介護が必要になった際の相談先を把握しておく
介護は誰にでも起こりうることです。一人で抱え込まず、利用できる制度をフル活用して、仕事と介護の両立を実現しましょう。職場でのハラスメントに遭った場合も、決して我慢せず適切な窓口に相談することが大切です。
あなたには支援を受ける権利があります。その権利を正しく行使して、大切な家族を守りながら自分らしく働き続けてください。
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