解雇予告手当はもらえない? 休職満了時の「退職」扱いの真実

来月で休職期間が満了だから、退職手続きを進めます
会社からそう告げられたとき、これからの生活費への不安から
「クビ(解雇)になるなら、せめて解雇予告手当(給料の約1ヶ月分)くらいはもらえるはずだ」
と期待してしまうのは当然のことです。
しかし、現実はそう甘くありません。休職期間満了による契約終了は、通常の解雇とは扱いが異なり、手当が出ないケースが大半だからです。
「もらえると当てにしていたのに入らなかった」という金銭トラブルを防ぐためにも、この記事では、なぜ休職満了だと手当が出ないのか、その法的なカラクリと、一部の例外について解説します。
「自然退職」なら手当は出ない
まず結論から言うと、休職期間満了で退職する場合、解雇予告手当が支払われることは稀です。 その最大の理由は、休職期間満了による契約終了の法的性質にあります。
「解雇」と「自然退職」の決定的な違い
多くの企業の就業規則において、休職期間満了時の扱いは「解雇」ではなく自然退職(自動退職)と定められています。
- 解雇
⇒ 会社側から一方的に労働契約を解除すること。原則として30日前の予告か、解雇予告手当の支払いが必要 - 自然退職
⇒ 「期間内に治らなかったので、契約が自動的に終了する」こと。契約期間の満了と同じ扱いであり、解雇予告手当の対象外となる
つまり、会社のルール上、「クビにした」のではなく「期間が終わって自動的に退職になった」という形をとるため、手当を払う義務が発生しないのが一般的な解釈です。
🔑 ワンポイント
就業規則に『休職期間満了までに復職できないときは、退職とする(または自動的に退職となる)』と書かれていれば、それは解雇ではないため手当は出ません
「解雇」という言葉が使われていても要注意
中には就業規則に
「休職期間が満了したときは解雇する」
と書かれている会社もあります。
「解雇と書いてあるなら手当が出るはず!」
と思いたくなりますが、ここにも落とし穴があります。
休職期間そのものが「予告」になる
たとえ形式が「解雇」であっても、多くの判例や実務では手当が否定される傾向にあります。 なぜなら、休職期間の満了日(=退職日)はあらかじめ規定で決まっているからです。
会社側が
「あなたの休職期間は○月○日までです」
と30日以上前に通知していれば、その休職期間自体が解雇予告期間とみなされます。十分な猶予期間を与えていたと判断されるため、やはり手当(現金の支払い)は発生しないケースが多いんです。
もらえる可能性がある「例外」とは
では、絶対に1円ももらえないのかと言えば、極めて稀ですが例外も存在します。 それは、会社の手続きに重大な不備があった場合です。
会社の手続きミスを突く
以下のようなケースでは、解雇予告手当を請求できる余地が生まれます。
- 突然の解雇通告
⇒ 休職期間の満了日が曖昧な状態で、会社が何の前触れもなく突然「明日で終わりです」と通告してきた場合 - 就業規則の不備
⇒ 就業規則に自動退職の規定がなく、かつ解雇予告も30日前に行われていなかった場合
ただし、これらは会社側のミスを法的に指摘する形になるため、弁護士などを入れた交渉が必要になることがほとんどです。
まとめ:手当よりも「失業保険」の準備を
厳しい現実ですが、休職満了時の解雇予告手当は
「もらえないのが基本」
と考えておいた方が、資金計画の面では安全です。当てが外れてパニックになる前に、確実な権利を行使する準備を進めましょう。
この記事のポイント
- 多くの会社では休職満了は自然退職扱いであり、手当の対象外となる
- 形式が解雇でも、休職期間そのものが予告期間とみなされることが多い
- 不確実な手当より、確実に受給できる失業保険の手続きを優先する
解雇予告手当が出ないとしても、あなたには失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取る権利があります。病気で退職する場合は、「特定理由離職者」として給付日数が手厚くなる可能性や、すぐに働けない場合の受給期間延長手続きなど、セーフティネットは用意されています。
「もらえないお金」のことを考えて悔やむよりも、「もらえるお金」を確実に手にするための手続きにエネルギーを注いでください。それが、あなたの新しい生活の基盤を安定させる一番の近道です。
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