うつ病の労災認定、なぜ半年も? 審査の流れと待つ間の生活費

ハラスメントでうつ病を患い
勇気を出して労災申請を決意したものの、
「結果が出るまでどれくらいかかるのか」
が見えずに不安を感じていませんか。
骨折などのケガとは異なり、心の病気の労災認定には長い時間と複雑なプロセスが必要です。もし、無収入の期間が長く続けば、病気の回復どころではなくなってしまいます。
この記事では、うつ病で労災認定されるまでの期間の目安と、具体的な審査の流れ、そして結果を待つ間の生活費を確保する方法について解説します。
期間の目安は「6ヶ月〜1年」
まず、最も気になる「期間」についてですが、残念ながら長期戦を覚悟する必要があります。
労働基準監督署の実務上の傾向を見ても、うつ病などの精神障害の労災審査は、半年以上かかるケースが多く、事案によっては1年以上を要することもあります。
これは決して脅しではなく、心の病気の審査にはそれだけの慎重さが求められるという現実なんです。
なぜそんなに時間がかかるのか
「足を骨折した」
といった身体的なケガであれば、原因が明確なため数ヶ月程度で決定が出ることが多いです。
しかし、うつ病や適応障害などの精神障害は「目に見えない」という特徴があります。そのため、労基署は以下の点を慎重に調査しなければなりません。
- 本当に仕事のストレスが原因なのか(業務起因性)
- プライベートな悩み(離婚、借金、家族の病気など)が原因ではないか
- 元々の性格や既往歴の影響はないか
このように、事実関係の確認に膨大な時間が費やされるため、どうしても審査期間が長引いてしまうんです。
🔑 ワンポイント
審査期間はあくまで目安です。事案が複雑な場合や、会社側の協力が得られない場合は、1年以上かかるケースも珍しくありません
審査の具体的な流れと調査内容
申請書を提出したら、あとは待っているだけではありません。審査期間中には、労基署による徹底的な調査が行われます。
1. 請求人(あなた)へのヒアリング
申請後、担当の調査官から呼び出され、詳細な事情聴取が行われます。ここでは、いつ、誰に、どのようなことを言われたかなど、ハラスメントの被害状況を詳しく話さなければなりません。
辛い記憶を掘り起こす作業になるため、精神的な負担が非常に大きいプロセスです。
2. 関係者への聴取と主治医の意見
あなたへのヒアリングと並行して、会社側(上司や同僚)への事情聴取も行われます。また、通院している心療内科等の主治医に対して、医学的な見地からの意見を求める調査も実施されます。
これらの情報を全て集め、最終的に専門医の協議を経て、ようやく認定・不認定が決まります。
🌈 ちょっと一息
ヒアリングでは辛い記憶を話す必要があります。一人で行くのが不安な場合は、家族や信頼できる支援者に同席してもらうことも検討しましょう
待っている間の「生活費」はどうする?
半年から1年もの間、無収入で結果を待ち続けることは現実的ではありません。
労災の結果が出るまでの間は、健康保険の「傷病手当金」を利用して生活費を確保するのが一般的です。
傷病手当金を「つなぎ融資」として使う
傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けない場合に支給されるものですが、労災認定待ちの期間中も申請することが可能です。
この場合、「労災申請中」である旨を健保組合に伝える必要があります。
もし後から労災が認定された場合は、受け取った傷病手当金を返還し、改めて労災保険からの給付を受け取る形になります。手続きは少し手間ですが、当面の生活を守るためには必須の手段と言えるでしょう。
まとめ:焦らず制度を使い、権利を待つ
うつ病の労災認定は、長期戦を覚悟しなければならない「マラソン」のようなものです。
しかし、認定されれば治療費や休業補償などの手厚い支援が得られ、あなたの今後の生活再建にとって大きな支えとなります。
この記事のポイント
- うつ病の労災審査は、半年以上かかることも多い長期戦である
- 審査では本人へのヒアリングや会社への調査が慎重に行われる
- 待機期間中の生活費は、健康保険の傷病手当金を活用してしのぐ
結果が出るまでの間は不安が募ると思いますが、焦る必要はありません。今は利用できる制度を賢く使いながら、まずは心と体を休めることに専念しましょう。
認定までの期間は、あなたがこれまでの疲れを癒やすための「休息期間」でもあります。焦らず、ゆっくりと結果を待ちましょう。
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