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厚労省が注目する「テレワークの労務管理」最新指針

厚労省が注目する「テレワークの労務管理」最新指針
厚労省が注目する「テレワークの労務管理」最新指針

テレワークが定着する中で

「見えない労働時間」や「費用負担」といった労務管理上の新たな問題が深刻化しています。

特に、自宅というプライベート空間と仕事の境界線が曖昧になることで、長時間労働や心身の不調につながるリスクが高まっています。

厚生労働省が策定・改訂する「指針」は、働く従業員の権利を守るための、会社が遵守すべき実務上の指針です。

この記事では、あなたの権利を守るための最新のテレワーク労務管理指針のポイントを解説します。曖昧な境界線を明確にし、安心して働くための知識を学びましょう。

「見えない労働時間」から自分を守る管理指針

テレワーク環境では、休憩時間業務時間外の作業が見えにくく、知らないうちに長時間労働になってしまうリスクがあります。

最新指針は、働く従業員の労働時間を適切に管理するためのルールを示しています。

1. 労働時間管理に関する最新ルール

会社は、テレワークを行う従業員の労働時間を客観的な方法で把握することが求められます。

  • 休憩時間の原則
    ⇒ 休憩時間中は、会社の指揮命令下から完全に離れることが原則です
  • 中抜け時間の取り扱い
    ⇒ 私用で業務を中断した「中抜け時間」は、休憩時間として扱うことが実務上の指針とされています
  • みなし労働時間制の適用
    ⇒ みなし労働時間制を適用するには、会社が業務遂行の手段や時間を具体的に指示しないなど、厳格な条件を満たす必要があります

2. 業務指示に関する注意点

会社がチャットやメールで業務指示を出す際のルールについても指針で示されています。

  • 業務指示の方法
    ⇒ 業務時間外にメールやチャットで業務指示を行う場合、翌日の始業時間以降に確認するよう伝えるなど、業務外連絡への配慮が求められます
  • 時間外労働の事前許可
    ⇒ 時間外労働を行う場合は、事前に会社の許可を得る手続きを踏む必要があります

🔑 ワンポイント
テレワークでも労働時間管理の原則は変わりません。休憩時間は仕事から完全に離れましょう

会社が負う「費用負担」と「安全衛生」の最新ルール

在宅勤務といえども、会社は従業員の安全と健康を守る義務(安全配慮義務)を負っています。また、テレワークに伴う費用の負担についても指針が示されています。

1. 費用負担に関する原則

テレワークに必要な費用について、会社は原則として負担すべきであるとされています。

  • 通信費・機器
    パソコンなどの機器や、業務に使用する通信費・電気代など、従業員が負担した費用は、会社が原則として負担すべきものです
  • 負担のルール
    ⇒ 費用負担の有無やその額については、就業規則や労使協定などで事前に明確に定める必要があります

2. 在宅勤務環境における安全衛生管理

在宅勤務であっても、会社には従業員の安全と健康を守る義務があります。

  • VDT作業
    ⇒ パソコンなどを使用するVDT作業について、適切な姿勢や休憩時間の確保を指導する必要があります
  • メンタルヘルス
    長時間労働孤立によるストレスの増大を防ぐため、定期的な面談相談窓口の設置が求められます

🌈 ちょっと一息
在宅勤務環境でも会社の安全配慮義務は及びます。費用や健康管理について会社に確認しましょう

ハラスメントから孤立まで。テレワーク特有のリスク対処指針

テレワークは、対面でのコミュニケーションが減少するため、ハラスメントの形態が変化したり、従業員の孤立といった新たなリスクが生じたりします。

1. リモートハラスメント(リモハラ)への対処

ガイドラインに「リモハラ」という用語の明確な定義はありませんが、実務論として、以下の対応が防止に重要とされています。

  • 監視の過度化の禁止
    ⇒ GPSなどによる過度な監視や、業務に不要な頻繁な連絡を禁止する必要があります
  • コミュニケーションの適切な確保
    ⇒ ハラスメントにつながるような不適切なチャットやメールの利用を禁止し、適切な頻度でのコミュニケーションを推奨します

2. 従業員の孤立を防ぐ対処法

在宅勤務が続くと、従業員が孤立し、メンタルヘルス不調に陥るリスクが高まります。

  • 定期的な面談
    ⇒ 業務に関わらない雑談や相談を目的とした、上司や同僚との定期的なオンライン面談の機会を設けます
  • 相談窓口の独立性
    ⇒ 孤立やハラスメントの相談に対し、独立した窓口プライバシーを保護しつつ対応できる体制を整えます

3. ハラスメント相談窓口の周知

テレワーク環境においても、ハラスメント相談窓口の連絡先や利用方法従業員全員に周知徹底することが重要とされています。

まとめ

今回は、厚生労働省が注目するテレワークの労務管理最新指針について解説しました。

この記事のポイント

  • 会社は、客観的な方法従業員の労働時間を把握し、休憩時間の自由を確保することが求められる
  • テレワークに必要な費用について、会社は原則として負担すべきである
  • リモハラ孤立といったリスクに対し、会社は安全配慮義務に基づき、適切なコミュニケーションと相談体制を整備することが重要である

テレワーク指針は、曖昧になりがちな仕事とプライベートの境界線から労働者を守るための知識です。指針を知り、会社に権利を主張することが、あなたの働き方をより安全で快適なものにします。

→ 関連ページ:『指導とパワハラの決定的な違いは何か』

→ 関連ブログ:『リモート時代に残る「上司の自宅訪問」は違法?』

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