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カスハラ対策、義務化へ。職場はどう変わる?

カスハラ対策、義務化へ。職場はどう変わる?

2025年は、職場のハラスメント対策にとって

 歴史的な転換点となりました。

顧客などからの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)への対策を企業に義務付ける改正法が成立し、働く人々を守る法的枠組みが、今まさに大きく変わろうとしています。

カスタマーハラスメント対策の義務化

2025年6月4日に可決・成立した改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)により、企業には新たにカスハラ対策が求められることになります。

この新制度は2026年中の施行が見込まれており、企業にとって待ったなしの対応が求められています。

企業に求められる具体的対策

  • 相談窓口の設置⇒ 従業員が安心して相談できる体制を整える
  • 対応方針の明文化⇒ カスハラに対する会社の姿勢を明確にする
  • 研修の実施⇒ 管理職・従業員への定期的な教育を行う

違反した場合のリスク

企業がこれらの適切な対策を怠った場合、行政による助言や指導の対象となり、悪質な場合には企業名が公表されるなどの法的責任を問われる可能性があります。

就活生へのハラスメント防止強化

厚生労働省は、就職活動中の学生へのハラスメント対策を強化する検討も進めています。2025年の通常国会での関連法案提出を目指しており、こちらも注目される動きです。

就活生が直面するハラスメントの例

  • 面接での不適切な質問⇒ 私生活に関する過度な詮索
  • 選考過程での威圧的態度⇒ 立場を利用した心理的圧迫
  • 内定後の不当な扱い⇒ 理不尽な条件提示や脅迫的言動

学生・就活生のみなさまへ

もし面接などで「おかしい」と感じることがあれば、決して一人で悩まず、大学のキャリアセンターや労働局に相談してください。

「自爆営業」問題への対処

商品の買い取り強要、いわゆる「自爆営業」についても、法的な解釈が明確化されました。

自爆営業はパワハラです

厚生労働省は2025年3月、自爆営業がパワーハラスメントに該当する可能性を明記した通達を出しました。

自爆営業の典型例

  • 商品購入の強要⇒ 会社の立場を利用した不要な商品購入の強制
  • ノルマ達成のための自腹購入⇒ 売上目標未達成時の個人負担強要
被害を受けている方へのメッセージ

これらの行為は明確にパワハラであり、あなたの感覚は正しく、法的にも保護される権利があります。

🔑 ワンポイント
法改正は、これまで「仕方ない」と見過ごされがちだった問題に、社会全体で向き合うという強い意志の表れです

🌈 ちょっと一息
法律があなたの「盾」になります。もし今、理不尽な状況にいるのなら、それはあなたが我慢すべき問題ではありません

まとめ

今回の法改正は、働くすべての人の尊厳を守るための、非常に大きな前進です。

今後期待される変化

  • 透明性の向上⇒ 企業のハラスメント対策が可視化される
  • 相談しやすい環境⇒ 法的後押しにより、声を上げやすくなる
  • 予防文化の定着⇒ 組織全体でのハラスメント防止意識の浸透

もしも今、あなたが理不尽な扱いに苦しんでいるなら、新しい法的枠組みがあなたの力になるかもしれません。適切な相談窓口に勇気を出して声を届けてください。

ご自身の状況が、どのような法律で守られる可能性があるのか、基本的な知識を知りたい方はこちらの記事も参考になるでしょう。

→ 関連ページ:『法律という名の盾。あなたを守る法律の限界と可能性』へ

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