【速報】ハラスメント対策義務化の「対象範囲」拡大へ

2022年4月にパワハラ防止法が中小企業にも適用され
すべての会社に対策が義務化されました。それに続き、2025年6月4日に成立した改正法(令和7年法律第63号)により、ハラスメント対策の「対象範囲」がさらに拡大するという「速報」をお伝えします。
なお、この改正法の施行については公布から起算して1年6月以内に政令で定める日とされており、事業主は早めの準備が必要です。
この記事では、この最新の法改正が、「関係者(社外)」と「企業規模」の両面でどのように義務を拡大しているのか、そのポイントを解説します。
拡大①(関係者):ついに「カスハラ対策」が義務化
今回の改正法では、これまで「望ましい」とされていたカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が、ついに事業主の雇用管理上の措置義務となりました。
- 拡大した範囲
⇒ 改正法では、従業員以外の「顧客・取引先・施設利用者等」からの言動によるハラスメントも、防止措置義務の対象に含まれています - 求められる措置
⇒ 会社は「顧客・取引先」からのハラスメントに対しても、相談体制の整備や被害者への配慮といった具体的な防止措置を講じる必要が出てきました
🔑 ワンポイント
これにより、従業員が顧客からの理不尽な要求に一人で耐える必要がなくなります
拡大②(関係者):「求職者等へのセクハラ対策」も義務化
同じ改正法により、会社のハラスメント防止義務の対象者が、社内の従業員だけでなく「求職者等」にまで拡大されました。
- 対象者の拡大
⇒ 就職活動中の学生 - 対象者の拡大
⇒ インターンシップ中の学生 - 対象者の拡大
⇒ 転職活動中の求職者
これにより、会社は採用活動中の求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置も講じることが義務付けられました。これは、弱い立場に置かれがちな求職者を守るための大きな一歩です。
🌈 ちょっと一息
採用活動中であっても、不適切な言動はハラスメントとして許されません
拡大③(企業規模):「男女間賃金差異の公表」が101人以上へ
ハラスメント対策と密接に関連する「職場の透明性」という観点でも、義務化の対象が拡大しています。女性活躍推進法の改正により、「男女間賃金差異の情報公表」の義務が拡大されました。
- 従来の対象
⇒ 常時雇用する従業員が301人以上の会社 - 最新の対象拡大
⇒ 常時雇用する従業員が101人以上の一般事業主・特定事業主
この改正は、中小規模の会社にも情報の透明性を求め、ジェンダーハラスメントや不当な評価の温床となり得る「賃金格差」の是正を促すものです。
まとめ
今回は、ハラスメント対策義務化の「対象範囲」が拡大している最新の法改正について解説しました。
この記事のポイント
- 2025年6月の法改正で「カスハラ対策」と「求職者等へのセクハラ対策」が会社の義務となった(施行は政令待ち)
- 男女間賃金差異の公表義務も、従業員101人以上の会社へと対象が拡大した
- ハラスメント対策は、社外の関係者(求職者、顧客)へも拡大している
ハラスメント対策と職場の透明性に関する義務は、企業規模に関わらず拡大しています。これは、労働者を守る法律が社会の変化に合わせて強化されているという大きなトレンドです。
→ 関連ページ:『法律という名の盾。あなたを守る法律の限界と可能性』
→ 関連ブログ:『カスハラ対策2026年施行 取引先からのハラスメントも義務化』

