職場復帰への不安を和らげる心の準備術

ハラスメントが原因で休職した後、
いざ職場復帰の時期が近づいてくると
「また同じような目に遭うんじゃないか」
「周りの目が怖い」
といった不安でいっぱいになってしまうものです。
「前のようにバリバリ働けるかな」
「また体調を崩したらどうしよう」
「同僚にどんな顔をして会えばいいんだろう」
実は、職場への復帰・復職にあたっての不安は誰にでもみられる共通の心配事なんです。あなたが感じている気持ちは、決して特別なものではありません。
この記事では、そんな職場復帰への不安を少しでも和らげるための、心の準備術をお伝えします。
復職への不安は「当たり前」だと知る
まず大切なのは、復職への不安を感じることは極めて自然だということを理解することです。
メンタルヘルス不調で休職した労働者の復職後の再病休率は約5割という現実があります。つまり、半数の方が一度は同じような心配を抱えながら職場復帰を果たしているということです。
あなたの不安の正体を知る
復職への不安には、主に以下のようなものがあります。
対人関係への恐怖
- 同僚や上司とうまくコミュニケーションが取れるか
- ハラスメントが再発するのではないか
- 周りから好奇の目で見られるのではないか
能力面への不安
- 以前のように仕事ができるか
- 体力や集中力が戻っているか
- 新しい業務についていけるか
環境変化への心配
- 職場の雰囲気が変わっているかもしれない
- 自分のいた部署が変わっているかもしれない
- 業務内容や責任が変わっているかもしれない
これらの不安を一つひとつ具体的に把握することで、対処法も見えてきます。
段階的な「心のリハビリ」を始める
職場復帰は、いきなりフルスピードで走り出すものではありません。段階的な復職が推奨されていますし、心の準備も同じように段階的に進めることが大切です。
ステップ1:生活リズムの安定化
まずは休職前に出勤していた頃と同じ時間に起きて、散歩したり、近くの図書館に通ったりして、昼間の活動時間を徐々に延ばしてみましょう。
平日の起床時間を一定にする
⇒ 外出する機会を意識的に作る
⇒ 読書や軽い運動で集中力を少しずつ鍛える
ステップ2:職場環境への段階的な慣れ
会社の建物の近くを散歩してみる、会社の最寄り駅まで行ってみるなど、物理的に職場環境に慣れていくのも効果的です。
ステップ3:人との接触を段階的に増やす
「NO」と言いやすい相手・内容から段階的に「断る」ことへの耐性をつけていきながら、人とのコミュニケーションに慣れていきます。
家族や親しい友人との会話から始め
⇒ 買い物や外食で店員さんとの軽い会話を増やす
⇒ 信頼できる同僚との短時間の連絡を取ってみる
「安全な復職」のための事前確認
復職への不安を軽減するためには、事前の情報収集と環境整備が欠かせません。
職場環境の変化を確認する
復職前に、以下の点について人事担当者や産業医に確認しておきましょう
ハラスメント加害者との接触回避策
⇒ 業務内容や勤務時間の調整
⇒ 相談窓口や支援体制の確認
⇒ 試し出勤制度の利用可能性
復職時にはきちんと説明を受ける権利があります。不明な点は遠慮なく質問しましょう。
「自分だけのセーフティネット」を作る
復職後の万が一に備えて、以下のような準備をしておくと心の安定につながります
信頼できる相談相手を確保する(産業医、カウンセラー、信頼できる同僚など
⇒ 緊急時の対処法を決めておく(一時的な回避方法、連絡先など)
⇒ 定期的な振り返りの時間を設ける(週末に1週間を振り返るなど)
🔑 ワンポイント
復職は「ゴール」ではなく「新しいスタート」です。完璧である必要はありません
まとめ
職場復帰への不安は、ハラスメント被害を経験した方なら誰もが感じる自然な感情です。大切なのは、その不安と上手に付き合いながら、段階的に心の準備を整えていくことです。
生活リズムの安定化から始まり、職場環境への慣れ、人との接触の段階的増加という3つのステップを踏むことで、不安を少しずつ和らげることができます。また、事前の情報収集と環境整備によって「安全な復職」への道筋を作ることも重要です。
パワハラが原因で休職をした人から
「半年たってもなかなか良くならない」
「普段は平気なんだけど、復職のことを考えると眠れなくなったり、胸が苦しくなったりして辛い」
といったご相談を受けることが多いという現実があります。あなた一人で抱え込む必要はありません。
復職への不安が強すぎる場合や、なかなか軽減されない場合は、主治医やカウンセラーなどの専門家に相談することをお勧めします。あなたの心の声に耳を傾け、無理のないペースで復職への道のりを歩んでいってください。
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