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どこまで話す義務がある? 病気・休職理由の詮索への対処法

どこまで話す義務がある? 病気・休職理由の詮索への対処法
どこまで話す義務がある? 病気・休職理由の詮索への対処法

なんの病気なの? 詳しく教えてよ

 「家庭の事情って、具体的に何があったの?」

休職の申し出や、復職に向けた面談の席で、上司から執拗に理由を聞かれて困惑するケースが後を絶ちません。 心配してくれているようにも見えますが、あまりに個人的な領域まで踏み込まれると、それは苦痛以外の何物でもありません。

会社には社員の健康を守る義務がありますが、土足でプライバシーに踏み込む行為は「個の侵害」というハラスメントになり得ます。

この記事では、業務上必要な確認と、違法な詮索の境界線を解説し、言いたくないことを守るための対処法をお伝えします。

「業務上の必要性」が境界線

まず知っておくべきは、会社側には「安全配慮義務」があり、社員が働ける状態かどうかを確認するために、ある程度の情報を収集する権利と義務があるという点です。

しかし、これには明確な限界があります。

  • 認められる範囲(業務上の必要性)
    ⇒ 「業務に支障があるか」「どのような配慮が必要か(残業禁止、配置転換など)」を判断するために必要な最低限の情報
  • 認められない範囲(個の侵害)
    ⇒ 「病気の詳細な原因」「家庭内の込み入った事情」「治療の内容」など、業務遂行の判断に直接関係のない、興味本位での聞き出し

厚生労働省の指針においても、業務の適正な範囲を超えて、労働者の私的な事柄に立ち入ることは「個の侵害(プライバシー侵害)」というパワハラの一種であると定義されています。

言いたくない時の「かわし方」

とはいえ、上司に対して真っ向から

 「それはプライバシーです」

と拒絶するのは勇気がいるものです。 そこで推奨されるのが、「情報は開示するが、相手を選ぶ」という方法です。

プライバシーに関わる詳細な情報は、守秘義務を持つ産業医や、個人情報管理の責任を持つ人事担当者にのみ話すようにしましょう。 直属の上司に対しては、以下のように伝えてルートを切り替えるのが有効です。

  • 「病状の詳細はデリケートな話も含むため、産業医の先生(または人事)に直接お話しさせていただいてもよろしいでしょうか」
  • 「業務上の配慮については、産業医の先生から指導していただく形にさせてください」

🔑 ワンポイント
上司に話す義務があるのは『業務にどう影響するか(休む必要があるか、制限が必要か)』という結論部分だけであり、病名の詳細や原因の告白ではありません

診断書の扱いと情報のコントロール

休職や復職の際に提出する「診断書」には、具体的な病名が記載されています。 この診断書の提出先についても、必ずしも直属の上司である必要はありません。

就業規則や社内規定を確認し、提出先が人事部となっていれば、封筒に入れて封をし、「人事部御中(親展)」として提出することで、上司の目に触れる情報を最小限に抑えることができます。

上司には

 「診断書は規定通り人事部に提出しました。当面は加療が必要とのことです」

と、事務的な報告に留めることも一つの自衛策です。

まとめ:沈黙は「わがまま」ではない

あなたのプライバシーは、会社といえども無制限に覗いていいものではありません。 「言いたくないこと」を言わない権利を行使することは、決してわがままや非協力的な態度ではなく、自分自身の尊厳を守るための正当な防衛策です。

会社が必要としているのは「あなたが働けるかどうか」という判断材料であり、あなたのプライベートな秘密そのものではないということを、忘れないでください。

この記事のポイント

  • 会社には安全配慮義務があるが、興味本位の詮索は「個の侵害」にあたる
  • 詳細な病状や事情は、守秘義務のある産業医人事に話すのが安全
  • 上司への報告は業務への影響に留め、診断書は封をして提出する

職場という組織の中にいると、どうしても「上司の質問には全て答えなければならない」というプレッシャーを感じがちです。しかし、業務と関係のないプライベートな領域まで明け渡す必要はどこにもありません。

毅然とした態度で線を引くことが難しい場合は、産業医や社外の相談窓口を味方につけ、「専門家の指導」という盾を使って自分を守ってください。あなたの心と生活の平穏は、仕事よりも優先されるべき大切なものです。

→ 関連ページ:『まず知るべき、パワハラの6つの顔(タイプ)』

→ 関連ブログ:『会社の「健康診断結果」はどこまで開示されるのか』

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