放置はパワハラ? OJT放棄で潰される新人の完全防衛策

期待と不安を胸に入社した新しい職場
しかし、そこで待っていたのは丁寧な指導(OJT)ではなく、徹底的な放置だったとしたらどうでしょうか。
「マニュアル読んでおいて」
と言われたきり放置され、質問しても「忙しいから自分で考えて」と突き放される。
これでは仕事が覚えられるはずがありません。しかし、真面目な人ほど、
「自分の覚えが悪いからだ」
「もっと自主的に動かないと」
と自分を責め、精神的に追い詰められてしまいます。
はっきり申し上げます。新人に必要な教育を与えずに放置することは、単なる指導不足ではなく、職場環境配慮義務違反や、ハラスメントの一種に該当する可能性が高い危険な行為なんです。
この記事では、あなたのキャリアを潰しかねない「OJT放棄」の実態と、そこから自分の身を守るための具体的な防衛策を解説します。
「見て覚えろ」は通用しない。悪質な放棄事例
OJT(On-the-Job Training)は、実際の業務を通じて仕事を学ぶ重要なプロセスです。しかし、現場では以下のような悪質な「放棄」が横行しています。
1. 丸投げ型
「とりあえずこれやってみて」
と、手順も教えずに業務を振り、ミスをすると
「なんでできないの?」
と叱責するパターンです。泳ぎ方を教えずに海に突き落とすようなもので、指導ではなく無責任な強要と言えます。
2. 完全放置型(エア社員扱い)
指導担当者が「忙しい」を理由に一切の関わりを拒否するパターンです。一日中デスクに座ってマニュアルを眺めるだけの時間は、精神的な拷問に近い苦痛を与えます。
3. 職人気質型
「俺の背中を見て覚えろ」
「昔はもっと厳しかった」
といった精神論で、言語化された指導を拒否するパターンです。教育スキルの欠如を新人の努力不足にすり替える卑怯な手口です。
🔑 ワンポイント
「自主性」と「放置」は違います。最低限のツールや知識を与えずに結果を求めるのは、マネジメントの放棄です。
なぜOJT放棄は「パワハラ」なのか
「教えてもらえない」という状況は、厚生労働省が定義するパワハラの6類型のうち、以下の要素に当てはまる可能性が高いです。
- 過大な要求
⇒ 遂行不可能な業務を強制する - 人間関係からの切り離し
⇒ 意図的に無視・隔離する - 精神的な攻撃
⇒ 放置することで「お前は不要だ」と暗に伝える
教育を放棄することで相手を無能な状態に留め置き、最終的に「使えない社員」のレッテルを貼って排除しようとする。これは静かで陰湿な虐待であり、決して許されることではありません。
証拠を残して身を守る「完全防衛策」
もしあなたがOJT放棄の被害に遭っているなら、ただ耐えているだけでは「仕事ができない人」にされてしまいます。会社に責任があることを証明するために、記録という武器を持ちましょう。
「指導されなかった事実」を記録する
日記やノートに、放置された状況を具体的に記録します。
- 「〇月〇日、A先輩に業務手順を質問したが『忙しい』と拒否された」
- 「〇月〇日、朝9時から17時まで一切の指示がなく、待機のみだった」
メールで「指導依頼」の証拠を残す
口頭で拒否される場合は、メールやチャットで形に残します。
- 「〇〇の業務について不明点があります。ご指導いただくお時間はいただけますでしょうか」
- 「マニュアルの〇ページまで読み終わりました。次の指示をお願いします」
これに対し返信がなかったり、拒否されたりすれば、それはあなたがサボっていたのではなく、会社が教育を拒否したという動かぬ証拠になります。いざという時、人事や外部機関に相談するための強力なカードになるんです。
🌈 ちょっと一息
記録をつけることは、メンタルケアにもなります。「自分は悪くない、これは環境の問題だ」と客観視できるからです。
まとめ:教育放棄は「あなたの責任」ではない
教育を受けることは、労働者が業務を遂行するために必要な権利であり、会社の義務です。もし放置されて仕事ができなくても、それはあなたの能力が低いからではありません。
「教えてくれない会社が悪い」
そう開き直ってしまって構いません。自分を責めて心を壊す前に、冷静に証拠を集め、自分を守る行動をとってください。あなたの成長できる場所は、必ず他にもあります。
この記事のポイント
- OJT放棄は、指導不足ではなく「人間関係からの切り離し」などのパワハラに該当しうる
- 「自主性」という言葉で、教育義務の放棄を正当化する会社には注意が必要
- 「指導を求めたメール」や「放置された記録」を残し、自分の身を守る証拠にする
教わっていないことができないのは、当たり前です。堂々と構え、不当な扱いに「No」と言うための準備を始めましょう。
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