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「親の職業」で差別された… 家柄・学歴ハラスメントの実態

「親の職業」で差別された… 家柄・学歴ハラスメントの実態
「親の職業」で差別された… 家柄・学歴ハラスメントの実態

職場で、学歴や出身地

さらには「親の職業」までネタにされて笑われる…。

 「お前の家は〇〇だから」
 「親が〇〇だと大変だね」

などと、仕事とは全く関係のないプライベートな領域を土足で踏み荒らされる苦痛は、計り知れません。

これは単なる「愛のあるイジり」などではありません。 個人の尊厳を傷つける、卑劣なハラスメント行為です。 あなたは怒っていいし、傷ついて当然なんです。

この記事では、人のバックグラウンドを攻撃する加害者の心理と、それが法的に許されない理由、そして毅然とした対処法について解説します。

なぜ「生まれ」を攻撃してくるのか

仕事の能力ではなく、変えることのできない「生まれ」「家族」を攻撃材料にする人たち…。 彼らはなぜ、これほどまでに幼稚で残酷なことをするのでしょうか。

その心理の根底にあるのは、加害者自身の

 「自信のなさ」や「劣等感」

です。

自分を保つための「見下し」

彼らは、他者を下げることでしか自分の価値を確認できません。

特に、自分より優秀な部下や、自分とは違う背景を持つ相手に対し、「生まれ」という努力ではどうしようもない部分を持ち出して優位に立とうとします。

加害者が抱える歪んだ心理

これを心理学の視点で見ると、以下のような心理状態が隠されています。

  • 相対的剥奪感
    ⇒ 「自分は不当に損をしている」と感じ、恵まれている(ように見える)相手を攻撃する
  • シャーデンフロイデ
    ⇒ 他人の不幸や欠点を見聞きした時に生じる「喜び」の感情

つまり、あなたを馬鹿にしているようで、実は彼ら自身が自分の人生に満足していない証拠でもあるんです。

🌈 ちょっと一息
家柄や親の職業を話題にすること自体、本来ビジネスの場ではマナー違反であり、プライバシーの侵害(個の侵害)にあたる可能性があります

法的なボーダーラインはどこにある?

では、こうした発言は法的に見てアウトなのでしょうか。

結論から言えば、パワーハラスメントの6類型における、以下の項目に該当する可能性が非常に高いと言えます。

業務との関連性はゼロ

「親の職業」「家柄」は、業務遂行能力とは何の関係もありません。

業務上必要のない事柄について執拗に言及し、それによって相手が精神的苦痛を感じている場合、違法性が問われます。

該当するパワハラの類型

具体的には、以下の2つのカテゴリーが当てはまります。

  1. 精神的な攻撃
    ⇒ 侮辱的な言葉で相手の人格を傷つける行為
  2. 個の侵害
    ⇒ 私的なことに過度に立ち入る行為

過去の裁判例でも、出自や家庭環境に関する侮辱的な発言が、不法行為(違法)として認められたケースは存在します。

 「ただの雑談のつもりだった」

という言い訳は、もはや通用しない時代なんです。

🔑 ワンポイント
「冗談のつもりだった」は通用しません。受け手が苦痛を感じ、就業環境が悪化していれば、それは立派なハラスメントです

言われた時の「大人の対処法」

もし、面と向かって親や学歴を馬鹿にされたら、どう反応すべきでしょうか。

最も避けるべきなのは、場の空気を読んで「愛想笑い」をしてしまうことです。

愛想笑いは「肯定」のサインになる

あなたが笑って受け流すと、加害者は

 「これは言ってもいいことなんだ」
 「面白いコミュニケーションだ」

と勘違いし、行為がエスカレートします。 勇気がいりますが、真顔で、冷静に境界線を引くことが重要です。

NG対応とOK対応の比較

  • NG:愛想笑い
    ⇒ 「あはは、そうなんですよ~」と流す
  • OK:真顔で拒絶
    ⇒ 「家族のことは仕事に関係ありませんので、言わないでください」と伝える
  • OK:不快感の表明
    ⇒ 「その言い方は不快です」と短く返す

証拠を残して相談窓口へ

それでも止まらない場合は、会社のハラスメント相談窓口へ報告しましょう。

その際、感情的に訴えるだけでなく、具体的な記録を持参することが解決への近道です。

メモに残すべき3つの要素

録音ができなくても、以下の3点をメモに残しておけば、信用性の高い証拠になります。

  1. いつ(日時)
  2. 誰が(加害者)
  3. どんな文脈で言ったか(具体的な発言内容)

🔑 ワンポイント
差別発言は、録音データがなくても「いつ、誰が、どんな文脈で言ったか」を詳細にメモしておくだけで、信用性の高い証拠になります

まとめ:あなたのルーツは誰にも汚せない

親の職業や学歴は、あなたの歴史そのものであり、他人が土足で踏み込んでいい領域ではありません。

どれだけ汚い言葉を投げつけられても、あなたの価値も、あなたのご家族の価値も、1ミリも下がることはありません。

この記事のポイント

  • 親の職業差別は、加害者のコンプレックスの裏返しであることが多い
  • 業務に関係ないプライバシーへの攻撃は、パワハラの「個の侵害」に該当しうる
  • 愛想笑いはせず、メモを残してハラスメント相談窓口へ報告する

親の職業や家柄は、あなたがこれまでの人生で培ってきた大切な背景の一部です。それを否定する権利は、上司であれ同僚であれ、誰にもありません。

あなたの価値は、他人の心ない言葉で傷つくほど脆いものではないことを、どうか忘れないでください。

もし、職場の誰かがあなたのルーツを笑うようなことがあっても、決して一緒になって笑わないでください。毅然とした態度で境界線を引き、自分と家族の誇りを守り抜きましょう。

→ 関連ページ:『まず知るべき、パワハラの6つの顔(タイプ)』

→ 関連ブログ:『【Q&A】ハラスメントの「定義」と6類型を再確認』

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