「エイハラ」とは?年齢差別が招く職場の深刻な問題

「○○さん、もうそんな古いやり方じゃダメですよ」
「若いくせに生意気な」
職場でこんな言葉を聞いたことはありませんか?
実はこれ、「エイジハラスメント(エイハラ)」という立派なハラスメントなんです。
2025年現在、少子高齢化により職場の年齢構成が多様化する中、60歳を過ぎても現役で働く人が増える一方で、20代でも重要なポジションを担う若手社員も珍しくありません。
そんな中、年齢や世代を理由にした差別的な言動が新たな職場問題として浮上しています。パワハラやセクハラと違って、まだ認知度が低いエイハラ。だからこそ、知らず知らずのうちに加害者にも被害者にもなってしまう可能性があるんです。
エイジハラスメントとは?見過ごされがちな年齢差別の実態
エイジハラスメント(エイハラ)とは、年齢や世代の違いを理由にした差別的な言動や嫌がらせのことです。「おじさん」「おばさん」と呼んだり、「これだからゆとり世代は」と一括りにして批判したりする行為が典型例です。
従来のハラスメントとの決定的な違い
パワハラが立場の優位性を利用したハラスメントであるのに対し、エイハラは年齢や世代に関係なく、誰もが加害者・被害者になりうる点が特徴です。若手から中高年へ、中高年から若手へ、そして同世代間でも発生する可能性があります。
なぜ今、エイハラが問題になっているのか
エイジハラスメントという言葉が広く認知されるようになったのは、2015年のテレビドラマ「エイジハラスメント」がきっかけでした。しかし、2025年の現在、この問題はより深刻化しています。
背景にある社会変化
- 終身雇用制度の変化により、年齢と経験値が必ずしも一致しない
- 転職が当たり前となり、多様なキャリアパスが存在
- 年功序列から成果主義への移行による価値観の変化
🔑 ワンポイント
エイハラの最大の特徴は、加害者が悪意を持たずに行うケースが多いこと。日常的な会話の延長として、知らず知らずのうちに相手を傷つけているんです
職場で実際に起きているエイハラの具体例
エイジハラスメントは、何気ない日常会話から深刻な差別的対応まで、様々な形で現れます。Job総研の2025年調査によると、ハラスメント被害者の82.2%が退職を検討または実行していることが明らかになっており、その影響の深刻さがうかがえます。
言葉によるエイハラ
- 年齢を強調する呼び方
⇒ 「おじさん」「おばさん」「○○ちゃん(年下に対して)」 - 世代をひとくくりにした批判
⇒ 「これだからゆとり世代は」「最近の若い子は」 - 年齢を理由にした能力否定
⇒ 「もう歳なんですから」「若いくせに」 - プライベートへの過干渉
⇒ 「30歳過ぎてまだ結婚しないの?」
行動や待遇でのエイハラ
- 年齢だけを理由にした仕事の割り振り変更
- 定年間近の社員への仕事の配分停止
- 若手への過度な業務集中(「若いんだから」という理由で)
- 年齢制限のある求人(業務上の合理的理由がない場合)
深刻化する職場への影響
エイハラが発生すると、従業員全体のコミュニケーションが萎縮する傾向があります。年齢に関する発言を避けるあまり、必要な意見交換や議論ができなくなったり、安心して発言できなくなったりする状況が生まれます。
🌈 ちょっと一息
「励ましのつもり」「労いのつもり」でも、年齢で相手を括った発言は相手を不快にさせる可能性があります。個人の行動や努力に着目した声かけを心がけましょう
エイハラを防ぐために今すぐできること
エイジハラスメントの防止は、まず「エイハラとは何か」を正しく理解することから始まります。認知度の低さが、無自覚な加害を生んでいるからです。
個人レベルでの対策
年齢に関する発言の見直し
- ❌「若いんだからもっと頑張れ」→ ⭕「○○さんの成長が楽しみです」
- ❌「もう歳なんだから無理しないで」→ ⭕「○○さん、いつもお疲れ様です」
- ❌「これだからゆとり世代は」→ ⭕「この件について一緒に考えましょう」
相手の立場を想像する習慣
年齢や世代に関する固定観念を持たず、その人個人の能力や経験、価値観を尊重する姿勢が重要です。
企業レベルでの対策
周知徹底と研修の実施
⇒ エイジハラスメントの概念や具体例を社内に広く周知し、定期的な研修を実施することが効果的です
客観的な評価制度の導入
⇒ 年齢に関係なく、能力や実績に基づいた公正な評価制度を確立することで、エイハラの温床となる年齢偏見を排除できます
相談窓口の設置
⇒ エイハラは被害を訴えにくいハラスメントの一つです。プライバシーに配慮した相談窓口の設置が重要です
まとめ
エイジハラスメントは、多様化する現代の職場において無視できない深刻な問題です。パワハラやセクハラと比べて認知度が低いため、
「これくらいは大丈夫」
「悪気はない」
という意識のまま、知らず知らずのうちに相手を傷つけてしまうケースが多いのが現状です。
2025年現在、職場には様々な年齢や世代の人が共に働いています。年功序列から成果主義への移行、終身雇用制度の変化により、年齢と経験・能力が必ずしも一致しない時代になりました。
このような状況だからこそ、年齢や世代による固定観念を捨て、一人ひとりの個性や能力を尊重する姿勢が求められています。
「おじさん」「おばさん」「ゆとり世代」といった何気ない言葉が、相手の尊厳を傷つけているかもしれません。
まずは自分の言動を振り返り、年齢ではなくその人自身を見て接することから始めてみませんか。小さな意識の変化が、誰もが働きやすい職場環境の実現につながるはずです。
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