3-3-2 もう会社選びで失敗しない。優良な転職先の見極め方

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前のワークで、あなたは自分自身の「価値」と「強み」

を客観的に再確認しました。

その揺るぎない自信を土台として、次はいよいよ、あなたにふさわしい、新しい職場を探すステップです。

しかし、ハラスメントを経験した後の転職活動には、「次の職場も、また同じような環境だったらどうしよう」という、深刻な不安がつきまといます。この不安は、あなたの視野を狭め、焦りから不本意な選択をしてしまう原因にもなりかねません。

ハラスメント被害を再び繰り返さないために、これからの転職活動は、あなたが会社から「選ばれる」場ではなく、あなたが働くに値する会社かどうかを、あなたの目で「見極める」場であるという意識を持つことが重要です。

この記事では、心理的に安全な「あなたに合った会社かどうか」を見極めるための、具体的なチェックポイントを解説します。

―― このページはこんな3本柱でお届けします ――

🚀 書類選考段階での見極め方 / 🎯 面接段階での見極め方 / 🔥 内定後の最終確認

書類選考段階:求人情報や企業サイトから「危険な兆候」を読み取る

会社の見極めは、応募ボタンを押す前から始まっています。

求人情報で確認すべきポイント

求人情報に繰り返し使われる言葉の中には、企業の体質を示すヒントが隠されていることがあります。

注意すべき表現の例

  • 「アットホーム」「風通しの良い職場」
    • 具体的な制度や文化の説明がなく、こうした抽象的な言葉を多用している場合、実際には公私の区別が曖昧で、ウェットな人間関係を求められる可能性があります。
  • 「やる気次第で成長できる」「裁量が大きい」
    • これらは、聞こえは良いですが、裏を返せば「研修制度が整っておらず、個人の頑張りに丸投げする」体質である可能性も示唆しています。
  • 「常に同じポジションを募集している」
    • 特定の部署や役職の求人が、転職サイトに常に掲載されている場合、そのポジションの離職率が非常に高い可能性があります。

🔑 ワンポイント
求人情報やウェブサイトは、企業が「どう見せたいか」という姿です。その表現の裏側にある、企業の本当の体質を読み解く意識が重要です

企業サイトや口コミサイトで確認すべきポイント

応募を検討する企業のウェブサイトや、第三者が運営する口コミサイトも、重要な情報源です。

チェックポイント

  • ハラスメント防止方針の有無
    • 企業の公式サイトに、ハラスメント防止に関する明確な方針や、相談窓口の存在が記載されているかは、企業の意識を測る上での一つの基準となります。
  • 従業員の写真やインタビュー
    • サイトに掲載されている従業員の表情は自然か、男女比や年齢層に極端な偏りはないか、といった点から、職場の雰囲気を推測することができます。
  • 第三者の口コミサイト
    • OpenWorkや転職会議といった口コミサイトでは、現職・退職社員による、より現実的な情報を得られる可能性があります。
      ただし、個人の主観が強く反映されるため、特定の過激な意見だけを信じるのではなく、多くの口コミに共通する「傾向」を読み取ることが重要です。

🌈 ちょっと一息
この段階は、あくまで可能性を探るためのスクリーニングです。少しでも違和感を覚えた企業については、無理に応募せず、リストから外すという判断も大切です。選択権は、あなたにあります

面接段階:「見られる」場から「見極める」場へ

面接は、あなたが評価される場であると同時に、あなたが企業を評価する重要な機会でもあります。

面接官の言動から社風を推測する

面接官の立ち居振る舞いは、その企業の「人」に対する基本的なスタンスを反映することが多くあります。

観察すべきポイント

  • 応募者に敬意を払っているか
    ⇒ あなたの経歴や発言に、真摯に耳を傾けているか。横柄な態度や、話を遮るようなことはないか
  • 圧迫面接ではないか
    ⇒ あなたを意図的に追い詰めるような質問や、業務と無関係なプライベートな質問をしてこないか
  • 現場の社員の雰囲気
    ⇒ もし可能であれば、オフィス内を見学させてもらい、働いている社員の表情や、職場全体の空気感を観察する

🔑 ワンポイント
逆質問は、あなたの意欲を示すだけでなく、企業の「人」に対する価値観を直接探るための、絶好の機会です

「逆質問」で企業の体質を探る

面接の最後に必ず設けられる「何か質問はありますか?」という時間は、企業の体質を見極めるための絶好のチャンスです。

有効な逆質問の例

  • 「社員の皆様は、どのような時に仕事のやりがいを感じることが多いか、教えていただけますか?」
    • 回答から、その企業が何を大切にしているか(顧客からの感謝、チームでの達成感、個人の成長など)が分かります
  • 「仕事で困難な課題に直面した場合、チームや組織としてどのように乗り越えていくことが多いですか?」
    • 困難への対処法から、協力体制の有無や、責任の所在に関する文化を推測できます
  • 「社員の研修やスキルアップに関して、会社としてどのような支援制度がありますか?」
    • 人材育成への投資に積極的かどうかは、社員を大切にする企業かどうかを判断する上での重要な指標です

🌈 ちょっと一息
面接の場で感じた違和感や不安は、重要な判断材料です。「圧迫面接に耐えられたから大丈夫」などと自分を納得させず、その時に感じた直感を大切にしてください

内定後:入社を決める前の最終確認

内定が出た後も、すぐに入社を承諾する必要はありません。最後の見極めを行いましょう。

労働条件を改めて書面で確認する

内定通知書や労働条件通知書といった書面で、雇用条件を隅々まで確認します。

確認すべき項目

  • 業務内容
  • 給与(基本給、手当、残業代の扱いなど)
  • 勤務時間、休日
  • 勤務地

面接で聞いていた話と相違がないか、少しでも不明な点があれば、入社承諾前に必ず人事担当者に質問し、疑問を解消しておきましょう。

🔑 ワンポイント
内定承諾は、あなたと企業との間の正式な「契約」です。全ての疑問や不安を解消してから、最終的な決断を下すことが大切です

可能であれば、現場の社員と話す機会をもらう

もし、まだ職場の雰囲気に不安が残るようであれば、「入社前に、配属予定のチームの皆様と、少しお話しさせていただくことは可能でしょうか?」とお願いしてみるのも一つの方法です(カジュアル面談)。

この申し出に、誠実に対応してくれるかどうか自体も、企業の体質を見極める良い試金石となります。現場の社員の生の声を聞くことで、入社後の具体的なイメージをより明確にすることができます。

🌈 ちょっと一息
最終的な決定権は、常にあなた自身にあります。焦らず、急かされず、あなたが心から「この場所で再出発したい」と思えるかどうかを、自分の心に問いかけてください

まとめ

ここまで、二度とハラスメント被害に合わない会社選びのための、優良な転職先の見極め方について見てきました。

  • 書類選考段階
    ⇒ 求人情報の抽象的な言葉の裏を読み、第三者の口コミも参考にする
  • 面接段階
    ⇒ 面接官の態度を観察し、「逆質問」で企業の体質を探る
  • 内定後
    ⇒ 労働条件を書面で徹底的に確認し、必要であれば現場の社員と話す

ハラスメントの経験は、あなたに深い傷を残したと同時に、人や組織の本質を見抜く、鋭い視点を与えてくれたはずです。

その新しい視点を最大限に活用し、自信を持ってあなたの働く場所を選んだら、最後のステップは、新しい人間関係を健全に築くことです。

次のページでは、「次の職場で心地よく働くための「人間関係の再設定」術」について解説します。