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納得できない異動は拒否できる? 「人事権の濫用」と戦う技

納得できない異動は拒否できる? 「人事権の濫用」と戦う技
納得できない異動は拒否できる? 「人事権の濫用」と戦う技
【専門家の知見を解説】

「会社からの命令だから絶対に従わなければならない」と思い込み、理不尽な異動や降格を前に、一人で泣き寝入りしようとしていませんか?

明けましておめでとうございます

 2026年がスタートしました。

新しい年の始まりは希望に満ちていますが、企業で働く私たちにとっては、決算や新年度に向けた「人事異動」の足音が近づく時期でもあります。

突然突きつけられる、納得のいかない異動命令や、身に覚えのない降格処分。「君の成長のためだ」と言われながら、実態は「報復人事」「追い出し部屋」への送致であるケースも後を絶ちません。

しかし、会社の命令だからといって、全てに従う必要はないんです。

この記事では、会社が持つ人事権の限界と、違法な命令を無効にするための「法的な戦い方」について解説します。

会社の人事権は「絶対」ではない

まず大前提として、日本の法律では会社側に広い

 「人事権(誰をどこに配置するか決める権利)」

が認められています。就業規則に「業務の都合により異動を命じることがある」と書かれていれば、原則として従業員はこれを拒否できません。

しかし、この権利は無制限ではありません。

労働契約法や過去の判例において、以下の3つの条件に当てはまる場合、その命令は「人事権の濫用(らんよう)」として違法・無効になる可能性があります。

  1. 業務上の必要性がない
    ⇒ 嫌がらせ目的、退職に追い込むための配置転換など
  2. 人選の合理性がない
    ⇒ なぜその人でなければならないのか説明がつかない
  3. 労働者の不利益が大きすぎる
    ⇒ 介護が必要な家族がいるのに遠隔地へ転勤させるなど

つまり、

 「気に入らないから飛ばす」
 「辞めさせたいから閑職に追いやる」

といった動機による異動は、法律が許さないんです。

🔑 ワンポイント
「転勤できなければクビだ」という脅しは、多くの場合において無効です。解雇権の濫用にもあたるため、恐れずにその発言を記録しておきましょう

戦うための武器「理由書」の請求

では、納得できない内示が出たとき、具体的にどう動けばいいのでしょうか。

最も重要なのは、その場で

 「分かりました」

と承諾しないことです。

 「家族と相談します」
 「考えさせてください」

と持ち帰り、保留にしてください。

そして、次のステップとして会社に対し「異動(または降格)の理由を記した書面」の交付を請求します。

言った言わないを防ぐ最強の証拠

口頭での説明は、後になって

 「そんなことは言っていない」

としらばっくれられるリスクがあります。

書面で理由を求めると、会社側はうかつなこと(「君の態度が気に入らないから」など)を書けなくなります。もし会社が正当な理由を書面で出せなければ、それは

 「正当な理由がない」

ことの証明になり、交渉や労働審判であなたを守る強力な武器になります。

🌈 ちょっと一息
書面請求は勇気がいりますが、「自分の課題を正しく理解し、キャリアに活かしたいので」と前向きな理由を添えれば、角を立てずに要求できます

降格を覆すための「比較と記録」

異動だけでなく、「能力不足」を理由にした降格や減給処分も、会社側には厳しい立証責任が求められます。

単に「ミスをしたから」という理由だけでは、大幅な降格は認められません。不当な降格と戦うためには、「他者との比較」「指導の有無」を記録してください。

  • 他者との比較
    ⇒ 同じようなミスをした他の社員は処分されているか? 自分だけが重い処分を受けていないか
  • 指導の有無
    ⇒ 会社は適切な教育や指導を行ったか? いきなり降格させるのではなく、改善のチャンスを与えたか

これらを客観的な事実(メール、評価シート、業務日報など)として集めておくことで、専門家に相談した際、勝てる確率は格段に上がります。

まとめ:雇用契約は「対等」である

私たちは会社に「人生」を売っているわけではありません。「労働」を提供し「対価」を得る、対等な契約関係にあります。

理不尽な命令に対しては、感情的にならず、法律というルールブックに従って冷静に対処しましょう。

この記事のポイント

  • 不当な動機や過大な不利益がある異動は、権利の濫用として無効になり得る
  • 内示はその場で承諾せず、必ず「理由書」を書面で請求する
  • 自分だけが不当に扱われていないか、他者との比較などの証拠を集める

あなたのキャリアと生活を守れるのは、会社ではなく、知識武装したあなた自身です。2026年は、泣き寝入りせず「正当な権利」を主張できる自分に生まれ変わりましょう。

→ 関連ページ:『Step 3: 加害者と「心の防御壁」を築く方法』

→ 関連ブログ:『上司の「正論攻撃」への上手な対処法』

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